東京海上日動、専門人材地域にも 21年新卒入社から地域限定社員にも枠拡大
東京海上日動火災保険は来年6月に選考を始める2021年入社の新卒採用で、勤務地を限定する総合職の地域社員に、専門性が高く、あらかじめ特定の職務への配属を明確にした専門人材枠を新たに設ける。同様の専門採用枠は、海外勤務や国内転勤がある総合職「グローバルコース」には導入してきたが、地域限定社員にも広げることで、理系を含む優秀な人材を獲得するのが狙いだ。
地域限定社員向けの専門人材枠は「ジョブ型」と呼び、首都圏に限り10人超の採用を予定している。今後、全国展開も視野に入れる。
損害保険業界で、地域限定社員に専門人材の採用枠を設けるのは初めてという。
募集するのはアクチュアリー(保険数理士)・金融工学、資産運用、IT戦略など学生時代の専攻を生かせる領域で働く意欲のある人材。採用後は商品企画や財務、システム分野などの部署を中心に配属する。応募は文系・理系と学部を問わず、これまでの採用コースと別枠で導入し、他の採用コースとの併願も可能とする。
最近は就活で内定を得た学生が希望する職種に配属できるよう内定先企業に働きかける「ハイカツ(配属活動)」の動きが出るなど、学生側に入社時から専門性の高い業務に就きたいとのニーズが高まっている。経済界も経団連、経済同友会が日本型雇用慣行の是正に向けて新卒一括採用を見直し、ジョブ型人材の採用を企業に促し、大学側もこうした取り組みへの認識を共有している。
東京海上日動は既に、総合職「グローバルコース」に専門人材枠「スペックコース」を設けている。損保事業をめぐる大きな環境変化に対応し、地域限定社員の新卒採用にも専門人材枠の新設に踏み切ることで、特定の領域で専門性を発揮できる多様な人材の採用を進める。
20年から経験者中途採用も本格化
東京海上日動火災保険は2020年から経験者の中途採用にも力を入れる。これまでデジタル分野やデータサイエンティストといった専門性の高い特定の領域で、いわゆるキャリア採用の実績はあるものの、より幅の広い職種での経験者に広げ、グローバルコースで20年入社の中途採用を本格化する。
銀行や証券会社の営業部門で高い実績を上げた人材や、自動車事故の保険支払い業務に精通した同業損保の人材などを想定する。即戦力として期待されるキャリア採用を営業や損害サービスといった損保会社の第一線を担う職種に広げ、10~20人を採用する計画だ。特定職種に絞らず、一般的な職域で中途採用に踏み切るのは損保業界で初の取り組みとしている。