ソフトな語り口で理路整然としていながらしっかりと伝わる言葉で文化産業としてのファッションを語る姿は、どんな重厚長大産業の経営者にも引けを取りません。浮き沈みの激しいアパレル業界の、まして小売業態で2000人を率いるまでに会社を着々と成長させた経営者のカリスマを率直に感じたインタビューでした。
ブランディング視点でもお店のスタッフを「生活者のプロ」として最大のタッチポイント(“個客”接点・訴求接点)と位置付けているとのこと。ブランディングといえばまだまだ本部主導で行う「私企画する人、私売る人」式の発想が多い中、お店のスタッフの個性や、お客さんとの関係性を重視するスタンスにぶれがないことは言葉の端々からもうかがえました。BEAMSブランドが支持され強い秘密はどうもこの辺にあるように感じました。
最後にもう一点、そんなスマートで知的な設楽社長ですが、大きなチョークストライプのスーツにシャツは大胆なグレンチェック柄のクレリックシャツ。ファッションのセオリーからはありえない組み合わせです。もちろんそんなことを一番知っているのは設楽社長に他ならないでしょう。
インタビューの中でもLGBTQやオタクといった人々へのシンパシーを感じさせてくれますが、そんなところにも、ファッションという本来的に自由や多様性を追求する産業を担う気骨や矜持を感じ正直うれしくなってしまいました。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら