働き方

「3K」イメージから脱却 デニム風、スーツ風…広がるおしゃれ作業着

 きつい、汚い、危険の「3K」イメージを返上したい-。建設や運輸などの企業で最近、おしゃれで着心地もよい作業着の採用が相次いでいる。働き手不足が問題になる中、作業着の改善は求職者へのアピールにもなり、欲しい人材の確保にもつながっているという。(津川綾子)

 「憧れられる仕事」へ

 一見、おしゃれなデニムのセットアップ。よく見ると大小さまざまなポケットが配されている。

 これは、建設業のイメージ向上や働き方改革に取り組む「日本SHOKUNIN(しょくにん)総研」(職人総研、東京都新宿区)がプロデュースした「Builsoul(ビルソル)」の作業着だ。さまざまなポケットは、作業の道具を入れるためのもの。今年1月に発売された。

 「建設業界の仕事は世間からきつい、汚いとみられ、プライドを高めづらかった」と代表理事の大川祐介さん。「インフラ整備など職人は社会で大切な仕事を担う。もっと支持され、憧れられるようにしたい」と、職人向けキャリア教育事業と並行し、「ビルソル」を手掛けた。

 伸縮性がある生地と縫い目の工夫で、体を動かしやすく、着心地を楽にした。「GOANZENNI(ご安全に)」など業界用語や、解体工事、板金工事など業種ごとにワッペンも63種類を用意。「会社や仕事への愛着の醸成につなげたい」(大川さん)という。

 取引先とも円滑に

 スーツ風の作業着に変更することで、業務自体にプラス効果も。

 「取引先との連携がスムーズになった」と話すのは、容器包装商社「ヨネヤマ」(川崎市)の物流課のリーダー、飯田淳志さん(34)だ。

 同社は昨年7月、「オアシススタイルウェア」(東京都港区)のスーツに見える作業着「ワークウェアスーツ(WWS)」を、食品トレーなどを取引先に届けるトラック運転手の社員に導入。毎日洗濯機で洗えて、伸縮性がありハンドルさばきもしやすいという。

 飯田さんは、「作業着の変更後、取引先から信用が高まり、搬入時に欠品情報を伝えられるなど、仕事がより円滑になった」と実感する。

 「人から見られる意識が芽生え、荷降ろしが丁寧になったし、行動や言動に気を配るようになった」と立原久人・物流課長も、運転手の意識の変化を語った。

 WWSはもともと、給水管メンテナンス事業を行う「オアシスソリューション」(豊島区)が平成29年、「水道工事のイメージ改善を」と自社の作業着として開発した。今では建築、清掃業などを中心に約350社が採用する。

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