最強のコミュニケーション術

テレワーク中こそ部下と雑談を オンラインの語彙数は対面のわずか2割

藤田尚弓
藤田尚弓

 伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。

 第16回は「テレワーク時のコミュニケーション」がテーマです。新型コロナウイルスの影響でテレワーク(リモートワーク)が一気に広がりを見せています。ビデオ会議、チャットなどビジネスコミュニケーションの代替ツールはありますが、対面コミュニケーションと同じと捉えてしまうと思わぬトラブルに繋がることがあります。テレワークのときに気をつけたいポイントを確認しておきましょう。

 メールだと感情は63%しかわかってもらえない

 メールで感情がどの程度正確に伝わるかという研究があります。これによると、メールを送った人たちは自分の感情が正しく伝わると予測していたのに対し、メールを受け取った人たちのうち感情を正確に解読できたのは63%でした(※1)。

 メールのときは「失礼にならないように」「丁寧に」と気をつけている人は多いと思います。しかし感情が伝わりにくいということは見落としがちです。謝罪するとき、無理なお願いをするとき、感謝を伝えるときなども、メールでは感情が伝わりにくいということを意識して、自分の気持ちを表現するひとことを付け加えるようにするのがよいでしょう。

 特にテレワークへ急激な移行があった場合には、慣れない仕事の仕方に戸惑う人も出てきます。PCスキルなど技術的な問題でつまずく人もいれば、在宅勤務でのモチベーションを保つのが難しいと感じる人もいるかも知れません。対面のときは、表情や雰囲気から「辛そうだな」というのを察してもらえた人も、メールやチャットなどでは伝わりにくいことを考慮する必要があります。慣れないテレワークで壁にぶつかった時には、ストレートにフォローをお願いするのがよいでしょう。

 上司は早めに、遅れてしまっている部下を見つけられるように気をつけたいものです。その具体的な対策としておすすめなのが、インフォーマルな会話(くだけた会話)の時間を設けることです。

 インフォーマルな会話は部下のアラート発信を助ける

 職場で仕事をしているときは、仕事の指示や報告、打ち合わせなどの会話以外にも、インフォーマルな会話がされています。例えば、通りかかったときの雑談、仕事途中に脱線して話した内容などです。このような会話は協力関係を築くうえで大事な役割を担うと言われています。テレワーク中にも、ある程度は仕事に関係のない話ができるような環境にしておくのがよいでしょう。

 インフォーマルな会話は、部下が相談しやすい雰囲気をつくるという点でも効果が期待できます。異常や悩みが発生したときにも“アラート”を発しやすくなります。「おしゃべりはサボりである」と捉える人もいるかも知れませんので、一日の始めに体調確認もかねてチャットで雑談をする、一日の終わりに進捗報告と共にその日あったことの感想を共有するといったルールを設けてもいいでしょう。

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