働き方

面接解禁、コロナ禍で変化 ウェブ形式に「買い手市場」…就活生不安

 来春卒業予定の大学生らへの筆記試験や採用面接が1日、政府の定める解禁日となり、就職活動がヤマ場に突入した。新型コロナウイルス感染防止のため、主要企業の多くはウェブ形式で実施。企業の業績悪化を受け、人手不足を背景に続いてきた「売り手市場」が変わることに不安を訴える学生も多く、就活環境は一変している。

 1日に1次面接を始めた三井住友海上火災保険は最終面接を含め全てウェブ形式に切り替えた。採用担当者は「対面よりも学生からの熱意が伝わりづらい面があることを前提に“根掘り葉掘り”聞いて人物像を見極めたい」と話した。

 損保ジャパンも、学生と一度も会うことなく採用を決める方針だ。学生の緊張をほぐし、システム操作に慣れてもらうため、昨年までは45分だった面接時間を最大60分に延長した。面接官が集まることによる「3密」を避けるため、半数が自宅から臨んだ。

 東京都内の自宅で損保ジャパンの面接を受けた慶応大4年の佃啓介さん(21)は終了後、ウェブ上で取材に応じ、「音声だけしか聞こえないトラブルもあってハラハラしたが、自分が頑張ってきたことをしっかりと伝えられた」と安心した様子で話した。

 1日からウェブ形式で始めた三菱商事も面接官の7~8割が在宅で対応した。最終面接に関しては「自身が働く場所や同僚を一回も直接見ないで就職先を決めるのは不安」との学生の声を踏まえ、対面で実施する方針。

 就職情報会社「ディスコ」の5月上旬の調査では、就活生1212人のうち70%超が「買い手市場に変化してきている」と回答。担当者は「先行きが不透明で、多くの学生が難しさを感じている」と指摘する。

 採用活動の日程は、今年から経団連に代わり政府が初めて主導した。面接などの選考は6月からと求めるが、強制力はなく先行して取り組む企業が多い。同志社大4年の男子学生(22)は、既に複数企業から内定を獲得。1日から本命の商社などの選考に臨み「等身大の自分をアピールしたい」と語った。

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【用語解説】大学生の就職活動

 日本企業の多くが横並びで選考を行い、大学卒業と同時に入社を求める新卒一括採用方式をとる。採用計画が立てやすく、新人研修を効率的に実施できる利点がある。政府は学業への配慮から会社説明会を3月1日、面接など選考活動を6月1日、正式な内定を10月1日からと求めている。優秀な学生を獲得しようと先行して採用活動を進める企業も多く、ルールの形骸化が指摘される。リクルートキャリアの調査によると、来春卒業予定の大学生の内定率は5月15日時点で49.2%。

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