豊穣な生態系は再開発で死に絶えるのか
かつてメーカーに製品の主導権があって商品サイクルがもっと長かった頃、パッケージデザインを手掛けるデザイナーは一文字一文字のロゴ書体を自分の手で書き起こし、特色インクの調合を依頼し、いざ製品化の段になれば地方の印刷工場まで出張校正に出かけて深夜まで校正立ち合いを行ったものです。今となっては贅沢にも感じる取り組みですが、やはり生活者に豊穣な何かを届けてくれていたようには思います。
本当に「麦茶」と「ふわとろフレンチトースト」が同じパッケージで良いんでしょうか。答えは所詮生活者の日々の購買行動が投票のようなものだと思いますし、支持されなければ早々にリニューアルされる他ないのですから答え合わせは簡単ですが、気になってしまうことは確かなのです。
何よりこの際、メーカーさんには存在意義をかけてPBブランディングをひっくり返すような魅力ある商品提案に奮起して欲しいと思います。今回SNSの反応を見る限り新PBブランディングに否定的な声も非常に大きく、逆提案の好機ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
追記:本稿入稿後校正の段階で、ローソン社長の竹増貞信氏が、早速一部パッケージを7月には変更していくとネットメディアのインタビューに答えていた。
「改(あらた)むるに憚(はばか)ることなかれ」
さすがスピード感ある決断と評価したい。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら