伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーションに自信がありますか? この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。
第18回は「夫婦関係の修復」がテーマです。「コロナ離婚」という言葉を耳にすることが増えました。そこまで問題になっていない家庭でも、在宅勤務や外出自粛などの影響で、パートナーとぶつかる時間や回数が増えた人もいるのではないでしょうか。亀裂が大きくならないようにするためにはどうすればいいのか。今日からできる修復ポイントをご紹介します。
できていますか? 家事を手伝うよりも効果的な〇〇
「俺は家事をやってるから大丈夫」と思っていませんか。結婚の満足度に関する研究によると、夫の家事参加は妻の満足度を高めますが、その効果は弱いことがわかっています(*1)。家事をどのくらいやってくれれば公平と感じるのかということは、家庭によって違います。
特に子どもがいる家庭では妻の負担が増大します。仕事や付き合いで家を留守にしている時間が長いときは気にならなかったことも、家で過ごす時間が増えてくると目につきやすくなります。
このような時に改善方法として選びやすいのが、「家事を手伝う」という方法です。家事参加は必要なことですが、冒頭でも紹介したとおり、満足度を高める効果はそう強くありません。持続可能性や努力対効果を考えても、いい作戦ではないといえるでしょう。
そこでお勧めなのが、妻をねぎらう声掛けです。「妻の努力や能力を評価すること」「心配事や悩みを聞くこと」などの情緒的サポートは妻のストレスを低減させることがわかっています(*2)。家庭内のトラブルがないという人も、予防するためにも、ぜひ意識して声掛けをしてみてください。どのようにすればよいか具体例を見てみましょう。
情緒的サポートを実践する お勧めフレーズ5選
褒めポイントや感謝ポイントを探して、3倍くらいに膨らませて伝えるのがコツです。
1. 料理を褒める
「外食ができない状況だけど、料理上手なおかげで助かってるよ」
2. 家事への努力を認める
「在宅勤務になるまで気づかなかったけど、こんなにいろんなことをしてくれてたんだね」
3. 育児を労う
「在宅になって子どもと過ごす大変さがわかったよ。いつも本当にありがとう」
4. 家事能力を評価する
「家事って、ちょっとしたプロジェクト並みに大変なんだな。尊敬するよ」
5. 心配事や悩みに寄り添う
「そうか、〇〇な気持ちになったんだね(相手の言葉を繰り返す)。それは辛いよな」
基本的な使い方としては、関連する話題になったときに、これらのフレーズをさりげなく差し込むというのがあります。応用編としては、なじられたり、批判されたりしたときに、褒めと感謝でかわしつつ、関係修復に繋げるというやり方があります。
- 《応用例》
- 「あー、また出しっぱなし。なんで片付けてくれないのよ」
- 「片付けって、大変だよな。在宅勤務になるまで気づかなかったけど、今までこんなにいろんなことをしてくれてたんだよな。本当にありがとう」