元受付嬢CEOの視線

上司は部下任せにし過ぎ テレワーク調査に潜む「枕詞」を見抜け

橋本真里子
橋本真里子

 コロナ前は、オフィスで発揮できていたパフォーマンスレベルが基準だったのが、在宅勤務するうちにいつの間にか、テレワークでのパフォーマンスレベルが基準になってしまったと考えられます。(1)お互い見えない環境だから、(2)急場しのぎのテレワークだから…という要因が働くと、オフィスワークに比べて指摘や緊張感は減少しがちです。そうすると人は「これでいいんだ」と思い、基準を知らずしらずのうちに下げてしまっているという事です。

 前述の男性社員は、出社してオフィスワークでのパフォーマンスレベルを取り戻し、今ではオフィスワークとテレワークを使い分けてメリハリを出すようにしているようです。

 うつになっていても気付けなかった…

 「社員がうつになりかけていたのに気づけなかった」

 これは知り合いの経営者から受けた相談です。その企業ももともとテレワーク導入企業で、弊社と同じようにコロナでその比重を増やしているそうです。

 そしてこの2カ月の間に、社員のひとりがうつ病を発症しかけていたというのです。テレワークでは、オフィスワークに比べ「会社を休む」「元気がない」といったうつ病の兆候に気づくことはかなり難しいです。

 その経営者は「コロナが与える事業への数字面の影響はもちろん少なからずあるが、それよりも社員のマネジメントのほうに大きな影響がある」とも言っていました。お互い「見えない」状況の中で業務を遂行すると考えると社員のモチベーションや自己管理能力にかなり依存する形になります。マネジメント対象者が多ければ多いほど、業務面やメンタル面を含めて、管理者が変化に気づく事も難しくなります。モチベーションの維持には、活気や雰囲気と言った「見えない力」も大いに作用するとわかりました。

 健康面や経済面でただでさえ不安な状況が続き、「自粛」というストレスフルな日常であるのに、テレワークという一見閉ざされた働き方を続けるとメンタル面の負担が大きくなるように思います。

 ちょっと「特殊」なテレワーク

 弊社では緊急事態宣言を機に比重を増やしたテレワークですが、長期化にともない、生産性や社員のマネジメントに多少の影響が出始めていると危機感をおぼえています。「コロナ禍のテレワーク」は接触機会を減らす・感染拡大を防止することが目的であり、少し特殊です。社員のマネジメントをすべてオンラインでまかなうことには限界があると感じ始めています。

 そのために弊社では、感染防止措置をきちんと講じた上で部分的に出社を取り入れるなど、「対面」でのコミュニケーションを交えながら、社員が一緒に仕事できるように工夫したいと考えています。

 今回お話しした働き方の点でもそうですが、多くの企業がコロナの影響を受けています。すると社員たちの思考は「内」に向きがちになります。ほかの社員のミスや不満などに集中し視野が狭くなります。そんな時は、いっそのこと「外」に向いてみたらどうだろう? と思うことがあります。「お客様のために」「世の中の役に立つために」仕事しようとするのです。そうすれば経営者も社員も、同じ方向を向くことでき、健全なメンタルを維持し続けることができるのではないでしょうか。そして、その姿勢が結果的に企業の成長につながると私は信じています。

橋本真里子(はしもと・まりこ)
橋本真里子(はしもと・まりこ) 株式会社RECEPTIONIST 代表取締役CEO
1981年生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。長年の受付業務経験を生かしながら、受付の効率化を目指し、16年にRECEPTIONIST(旧ディライテッド)を設立。17年に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。

【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週木曜日。アーカイブはこちら

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