書評

『検証ブラックアウト 北海道胆振東部地震』

 ■丹念に集めた緊迫事態の証言

 2年前の9月6日未明に最大震度7を観測した北海道地震。関連死を含め44人が犠牲となったが、それとともに記憶されるのが、道内全域の約295万戸が停電するという国内初の「ブラックアウト」に陥ったことだ。

 大量の生乳廃棄、綱渡りの人工呼吸、暗闇での交通整理…。本書は地震直後の電気のない生活を強いられた人々の証言を丹念に集めて当時の状況を再現する一方、脆弱(ぜいじゃく)な電力供給態勢の核心にも迫る。電気のある生活に慣れ切った国民に警鐘を鳴らし、「電力の安定供給とは何か」を多角的に考えさせる貴重な記録である。(北海道新聞社・編/北海道新聞社、1500円+税)

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