未来へつなげる副業の選択
前述したとおり、副業には様々な意義がある。私は、副業は「バンドのボーカル、ギタリストのソロ活動」「次の自分の予行演習」と捉えるべきだと考えている。
前者については、バンド活動においてはその音楽性、イメージなど様々な制約がある。普段はできないことやることによって、ストレス解消にもつながるし、バンドの活動にも新たな風がもたらされる。やりたかったが、できないことをやるというものだ。コロナにより何かとストレスがたまる時期である。仕事上の制約も多々あることだろう。現状の職場ではできない活動を副業で実行し、自分の中の閉塞感をぶち破ろう。
そして、それ以上に意義があるのが後者の「次の自分の予行演習」だ。自分のありたい姿、やりたいことを胸に手をあてて考えてみよう。起業したい、飲食店を経営したい、自分の書いたブログを書籍化したいなど、様々な夢があるかもしれない。この予行演習だと捉えてみる。
お金と時間の余裕があるならば、いますぐ成果を出すのではなく、数年後に自分が輝くにはどうすればいいのかを考えるとよい。新型コロナがどのように収束するのか。仮にワクチンが開発され、普及したとしても、新しい社会が待っている。どのような社会になるかを想像しつつ、そのときに自分が輝いているためにはどうするかを考えよう。
社会の変化を意識…コロナ後に向け“助走”を
少しだけ自分語りをする。私が会社員時代に副業でライターを始めたのは、単にそれがやりたいことだったからだ。幼い頃から新聞記者か作家になりたかったのだが、その道はいつの間にか諦めてしまっていた。しかし、その想いはいつも心の中に「忘れ物」「落とし物」のように存在していた。
たまたま、盟友・中川淳一郎がウェブ編集者としての活動を始めたころ、当時は書き手が少なかったので、声がかかり、書き始めた。がむしゃらに書き続けた。いつかは単著を書く、論者としてメディアでコメントするという夢を抱きつつ。ただ、物書き一本で食べていくことは無理だと感じていた。夢に向かった予行演習期間だと考えた。
意識したのは、現状の分析と数年後の変化である。今後、どのような論客が引退していくのか。いま、空席のポジションはどこか。がむしゃらに書きつつも、どうやったらゴールに近づけるかは意識していた。ちょうどリーマンショックがあり、雇用問題が深刻化した際に、その分野で専門的な発言ができる論者の一人としてメディアから声がかかり始めた。
これはライターの世界での事例であり、自分語りにすぎない。ただ、社会の変化、さらには自分自身の強みや足りないものを意識しつつ、考えたい。
コロナがあけた際に、一気に新しい社会が動き出す。そのときに、どんな人が必要とされるのか。そんなことを考えつつ、コロナ後に向けた助走を始めたい。そんな姿勢で副業に取り組むことをおすすめする。
【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら