フリータイムはどう過ごしているのだろう。週に一回は合唱に参加している。彼が歌うのはルネサンス期から教会の多声音楽である。
「それから犬と過ごす。森のなかや山を犬と歩くのだ。友人を招いて食事することも多い。つきあいのある職人たちが作ったオブジェや調度品で食卓を飾る。他人と一緒にすごす時をつくるのは価値がある」
読書には多くの時間を割く。毎週『ニューヨーカー』を読んでいる。雑誌だが本と言ってよいほどに中身が濃い。
エッセイ、歴史、美術史、宗教、文化人類学の書籍も手にとる。小説なら年に1回、大物の古典を丁寧に再読することにしている。例えば、最近ではドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を読んだ。
日本の文学作品にも造詣が深い。古くは源氏物語から幕末から明治にかけて活躍した落語の三遊亭圓朝までをもカバーする。もちろん近現代の作品も好きで、殊に川端康成には目がないようだ。イタリア語に翻訳された「日本文学全集」とも称すべきシリーズも全巻もっているらしい。
アルベルトとは彼の本業に関するインタビューで4年前に知り合った。あの時、彼はぼくにイタリアのアルティザンに関する本や雑誌をどっさりと渡してくれた。それらが、ぼくが『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』という本を書くにあたり、基礎データとしてとても役立った。
今回、彼のバックグランドを伺い、彼の人生そのもの、お会いしたことも名前も存じ上げない、ご両親やすべての関係者に思わずお礼を言いたい気持ちになる。ちょっと不思議な体験だ。
『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』 安西洋之 著
【ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。