働き方ラボ

「忘年会なし」が若手社員を救う? 鬼滅ネタ、香水の替え歌…起こりえた惨劇

常見陽平
常見陽平

・いまさらパプリカ

 今年は、新型コロナウイルスショックさえなければ、東京オリンピック&パラリンピックの年だった。この大会で活躍した選手のモノマネなどが披露されていたことだろう。さらには、今年は死ぬほど「パプリカ」がかかっていたはずであり、昨年の宴会シーズンでは、社員にパプリカの踊りを強要する“パプハラ”が問題となったが、今年もまだまだ続いていたことだろう。

・いまさら嵐

 国民的アイドルグループ、嵐が活動を休止する。彼らに感謝するのは勝手だ。しかし、職場の中年たちが、嵐をやるのは無理があるのではないか。部長、課長たちによる「ハピネス」は本当の幸せといえるのだろうか。彼らによる、ぎこちない歌や踊りは考えてみるだけでおぞましい。

・無理あるコスプレ

 コスプレは、とりあえずやるだけで盛り上がる芸である。本来、このプロたちはこれに並々ならぬ情熱を注いでいる。ただ、宴会で中途半端に真似すると単に痛いだけになってしまうのが悩ましい。アマビエや、あつ森のコスプレ、キグルミなどで笑いを誘おうとして滑るという光景が展開されていただろう。考えるだけでどんよりしてくる。

 コロナに関係なく見直す時期に

 まだまだあるが、この辺で。こんな宴会、楽しいだろうか? 考えるだけで嫌な気分になってこないか? 新型コロナウイルスショックの影響で忘年会が中止になり、ダメージを負った飲食店には頑張ってもらいたいのだが、一方で、コロナに関係なく、忘年会の意義を見直す時期に達していなかったか? 感染症はいま、そこにある危機である。ただ、会社への通勤(これは今思うと、気分転換の機会だったともいえるのだが)や、宴会芸など、会社の嫌な部分から解放された点は大きいのではないか。これが感染症でなければみんな、変化にウキウキしたかもしれない。

 もちろん、宴会には意味がある、はずだ。多様な人が働く職場で労をねぎらう場、コミュニケーションを深める場として重要度は認識されている(宴会だけが手段ではないが)。幹事をさせることによって若者を育てる意味もなくはない(別の機会でやれという話でもあるが)。

 新型コロナウイルスショックは我々の生き方について問いかける。私達はいつまでこんな宴会を続けるのか。これを機会に考えてみよう。

常見陽平(つねみ・ようへい)
常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら

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