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芸能人とも話せる? 音声SNS「クラブハウス」で香ばしい“意識高い系”たち

常見陽平
常見陽平

 意識高い系がクラブハウスに前のめりになるのは、早めに動いた方がフォロワー数アップに取り組みやすいし、“ベテラン面”することができるからだろう。ブログやツイッターが流行り始めたときもそうだったが、ここでブレークし、「最もフォロワー数が多い○○」というタイトルを手にすることができる。

 芸能人・著名人も続々と参戦

 なお、これまたネット・SNSあるある話ではあるが、結局のところ芸能人・著名人は最強なのである。アイドルグループの新旧メンバーは圧倒的にSNSのフォロワー数を伸ばしている。現状、クラブハウスは課金の仕組みなどはないが、彼ら彼女らもクラブハウスに参戦していくのか。今後、どのようにマネタイズに活かすのか。もっとも、ここで課金できなくても、つながりは資産となる。ここでのつながりを、オンラインのサロンや、各種コンテンツに誘導するなどの工夫はできそうだ。

 一方、芸能人や著名人が参戦することによるトラブルも気になるところだ。クラブハウスはサービス上、公開用のログが残らない仕様であり、規定上も発言者から一筆もらわなくては、そこでの書き起こしを外部で公開することはできないことになっている。ただ、今話題の取材なしで書かれる「こたつ記事」のネタになるなどの事案が起こらないか…気になるところだ。

 見方を変えると、企業の採用活動でも使えるかもしれない。クラブハウスで社員との接点をつくり企業を体感する機会になる。また、採りたいと思う人を発掘するツールになりえる。SNS採用は約10年前に流行した。新しいプラットフォームは感度の高い層から使い始めるので、現状は人材発掘のツールに使うことは可能だ。もっとも、あまりにもプロフィール情報がすくないし、テキストベースでのメッセージのやり取りができないので、別の手段で連絡を取り合うことが必要ではある。

 「クラブハウス疲れ」にはご用心

 こうした流れは傍観する対象としては面白いのだが、やや気をつけなくてはならないことがある。それは「SNSブルー」である。SNS鬱とも言う。まわりの友人、知人が前のめりに頑張っている様子をみて、心が折れるというものである。これは、2000年代に流行した自己啓発疲れにも似ている。ビジネス書を読んで自分磨きに没頭するのだが、なかなか成果がでずに気持ちが落ちたり、周りの仲間が頑張っている様子をみてブルーになるというものである。ただでさえ、コロナ禍で気分が沈みがちである。SNSにのめりこむことで、自らを傷つけてはいけない。

 クラブハウスに限らないが、SNSはハマりすぎないためにも、心の安定を実現するためにも、自分のルールを決めることを強くオススメする。これからの時代は息を抜きながら、生き抜くスキルが大切なのだ。

常見陽平(つねみ・ようへい)
常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら

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