フリーランスの進路相談室

難病を乗り越えた元フリーランスは、なぜ会社員に戻ったのか

Workship MAGAZINE
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■フリーランスの皆さん。「もしもの時の保険」、自分で用意してますか?

西山:フリーランス時代に、病気を含めていろんな困難を経験された身から、「いまフリーランスとして働いている人」や「これからフリーランスになろうとしている人」にアドバイスできることって、何かありますか?

ゆうせい:会社員の人が独立してフリーランスになるタイミングって、希望に満ちてると思うんですよ。「よっしゃ! これからやってやるぞ!」って。でも、人生って本当に、何が起きるかわからない。だからこそ最低限の備えとして、医療保険には入っておいてもらいたいですね。

 僕も以前働いているときは、保険なんて要らないと思っていたんです。小中高、一回も学校を休んだことのなかったくらい、身体の丈夫さには自信があったから。ただ、妻から「なんでもいいから入ってくれ」と言われて、フリーランスになる直前に入ったんです。月500円くらいの、ホントに最低限のヤツなんですけど(笑)。

西山:それでも、入っててよかったと?

ゆうせい:そうですね。そのおかげで、入院中に1日1000円くらい下りたんです。入院が4か月続いたから、後から数万円返ってきました。払っている医療費にくらべたら微々たるものなんですけど、収入がない中で現金が入ってくることには、本当に安心しました。

西山:フリーランスで保険に入ってない人、結構多いと思います。

ゆうせい:会社員なら病気で仕事ができなくなっても、休職手当などの保障があるんですよね。最悪、病気が原因で辞めることになっても失業保険が出るし。けれども、フリーランスはそういった「もしもの時の保険」がまったくないんですよね。それは自分で、ちゃんと用意しておくべきだなって思います。

 あとは、セルフケアも大事ですよね。会社員だと定期健康診断がありますけど、フリーランスだと自分で行かないといけない。年に1回は絶対に行った方がいいです。僕みたいに、たいしたことないって思ってる不調が、実は大病の兆候だったりするケースもあります。そもそも自覚症状がなかなか出ない病気も、たくさんありますから。

西山:いまが健康だと、そういうのってついつい疎かにしちゃいますね。僕も気を付けよう。

■オンとオフの切り替え、自己管理は永遠の課題

西山:退院されてからは、会社員に戻られたんですよね。フリーランスから会社員に戻った理由はなんだったのでしょうか?

ゆうせい:あらためて考えてみて「フリーランスの働き方が、自分には合わないな」と思ったからですね。一番の理由は「24時間オンになってしまうこと」。これが本当につらかった。iPhoneの修理屋をやっている時は“店”という形態上、受付時間を決めていましたし、それが自分の稼働時間でもあったんです。けれども、いざフリーランスになってみたら「これは恐ろしいことになったで……!」って感じで。四六時中、いつ何時でも仕事の連絡がくるじゃないですか。

 職種やケースにもよりますが、会社員なら勤務時間外に仕事の連絡が来ても、気兼ねなく無視できますよね(笑)。でも、フリーランスだとそれが通用しない。「割り切って無視しちゃえばいい」って意見もあると思うんですけど、僕にはそれができなかった。だから、24時間ずっと神経が高ぶった状態になってしまって、すごくストレスだったんです。

西山:オンとオフの切り替えは、フリーランスにとっての永遠の課題ですね……。

ゆうせい:僕と同じようなタイプの人がフリーランスになるなら、自分で定時を決めてしまった方がいいと思います。その上で仕事相手に「20時以降は返信できません」などと、事前に伝えておくといいのかもしれませんね。

 最近は周りのフリーランスの友人でも、秘書とかアシスタントを雇って、その人を通して仕事の連絡や調整をしている人も増えてきました。連絡を一本化すれば、その人に「業務連絡は9時~19時の間だけでお願いします」と伝えるだけで済むから、コントロールがしやすいですよね。

西山:人に頼むのは合理的ですよね。僕も結構そうなんですけど、「自己管理」って、苦手な人にとっては無理ゲー感が強いというか。

ゆうせい:僕もフリーになり立ての時は「ゴリゴリたくさん仕事するぞ!」って思ってました。それで「フリーになりました!」って周りに報告したら、結構ポンポンと依頼が入ってきて。「やったー!」と思って次から次に予定を入れていくんですけど、そのうち「あれれれ~おかしいぞ~全然休めないぞ~?」と(笑)。

西山:そういうのって、なってみて初めて「あ、自分ってそうなんだ」とわかったりするものですよね。フリーになる前に「向いているかどうか」を判断するのは、なかなか難しいなと思います。

ゆうせい:……それ、いますごい判別方法を思いつきました。フリーに向いてるか向いてないかの。

西山:そ、それはどんな……?

ゆうせい:夏休みの宿題、ちゃんと夏休み中に計画を立てて終わらせられなかった人は、フリーランスになるべきではない!

西山:な、なるほどー!!!

ゆうせい:思えば僕、いままで生きてきて一回も終わらせてないですもん、夏休みの宿題。自分に甘いから(笑)。

西山:僕、ギリギリまでやらないで、最終日の前日とかから一気に終わらせるタイプだったんですけど、それはセーフですかね……?

ゆうせい:それで期間中に終わる人はセーフなんだと思います。要は「かかる時間を逆算できている=計画性がある」ってことになるから。あ、意外といい線いってるかもですね、この基準(笑)。

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