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NHK武田真一アナの「大阪異動」人事を読み解く 転勤を“左遷“扱いに違和感

常見陽平
常見陽平

 NHK武田真一アナの異動が話題になっている。4月から大阪に転勤し、ニュース番組「ニュース きん5時」を担当するという。今回は、彼の人事について読み解きつつ、会社員と「異動」について考えてみよう。

 武田アナの異動で飛び交う憶測

 武田アナはNHKのエグゼクティブ・アナウンサーであり、2017年から『クローズアップ現代+』を担当している。これまでも、主要ニュース番組の司会を務めてきており、2016年には「NHK紅白歌合戦」の総合司会も担当するなど、間違いなく日本の人気アナウンサーの一人である。

 私は武田アナの大ファンである。今回の異動に関しては、1月19日の『クローズアップ現代+』にて自民党の二階幹事長に「政府の対策は十分なのか。更に手を打つことがあるとすれば何が必要か」と質問し、不愉快にさせたことによる忖度人事・左遷ではないかという憶測も飛び交っていたが、真相は定かではない。ただ、武田アナは特別番組として3月5日に放送された「ニュース きん5時」でその説を否定している。今回の人事は東京一極集中を避けるため、大阪の拠点を強化し、災害時などの対応を強化するためとも言われている。

 武田アナは今回の異動について「日本で2番目の街なのに、大阪に住むことを考えたことがありませんでした。知らず知らずのうちに東京から日本を眺めることに慣れきっています。大阪の言葉に包まれて暮らすのはどんな感じ? 東京や他の地方はどう見える? 流れに身を任せ、呼び寄せられて人生を転がしてみるのも悪くない…。そこから見える新しい風景を楽しみにしています」とメッセージを公表。感動的だと話題になった一方、「流れに身を任せ、呼び寄せられて人生を転がしてみるのも悪くない…」というフレーズが憶測も呼んだ。

 転勤を「左遷」扱いは失礼

 ビジネスパーソンにとって、春は人事の季節である。昇進・昇格、異動、転勤、出向など様々なドラマが存在する。40代になったあたりから、新聞の人事欄で、かつての先輩、友人・知人の出世を知る機会も増えた。この春は古巣リクルートグループでも、バンダイナムコグループでもお世話になった方や同世代の出世ラッシュだった。

 一方、「転勤」については、ここ数年、見直しを求める議論が沸き起こっていた。共働きの夫婦が増える中、「転勤」は家族に対する影響が大きい。子育て、介護などに多大なる影響を与えるのである。ワンオペ育児せざるを得ない状態にも追い込まれる。転勤に合わせて家族で移住したとしても、環境の変化は大きい。その際に、夫婦のどちらかが仕事を辞めなくてはならない事態にもなり得る。

 テレワークが普及したことにより、転勤が不要になるのではないかという議論もある。たまたま、海外赴任中の先輩と連絡をとった際に、日本に帰任するかもしれないということを打ち明けられた。というのも、現地にいても移動が自由にできず、リモートワーク中心だからだ。

 転勤をしない働き方の模索も行われている。地域限定の社員、勤務地や職務内容を明確に定義した働き方などだ。

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