利益に寄与? 企業は多様性を尊重したほうがオトク
- 「部下は黙ってついてきたほうが統率がとりやすい」
- 「出産したら女性には辞めてもらったほうが会社のためにも、子供のためにもいい」
そうした考えをお持ちの人もいると思います。たしかに、多様性の尊重によって「やりにくさ」を感じる場面もあると思いますし、対立が増えるといったネガティブな結果を示唆する先行研究(*1)もあります。
▼創造性やイノベーションを促進
しかし、多様性を尊重して共に働いていくというのは、もはや避けられない大きな流れになっています。ダイバーシティと経営成果との直接的な因果関係は明らかになっていないものの、ダイバーシティが創造性、イノベーション、チームパフォーマンスに影響する可能性を示す研究もあります(*2)。
経済産業省の調査によると、男女性管理職の登用数が多い企業は、そうでない企業に比べ利益率が高いそうです(*3)。 これに関しては「利益率の高い企業だから女性を登用できるのでは」という意見もあると思いますが、職場の多様性を認識するというだけでも、実は大きな効果があると筆者は考えています。
メンバーの多様性を知覚しているグループは、知覚していないグループよりも課題解決にむけて協力すれば創造的な成果を得られるという研究もあります(*4)。
新型コロナウイルスの影響で、社会や働き方が大きく転換しました。今後も何かのきっかけで、ビジネス環境は大きな変化を強いられるかも知れません。様々な問題に直面した時に生き残れる組織になるためにも、ダイバーシティは大事なことだと思いませんか?
仮にそうでなくとも、属性によって人を差別したり、配慮のない言動をしたりといった職場は、今後評価を下げ淘汰されていくことでしょう。様々なタイプの人が、それぞれの強みを活かしていくことは、むしろ厳しいビジネス環境だからこそ必要なことではないでしょうか。
*1 Choi, J. N., & Sy, T. (2010). Group‐level organizational citizenship behavior: Effects of demographic faultliness and conflict in small work groups. Journal of Organizational behavior, 31(7), 1032-1054.
*2 Jackson, S. E., & Joshi, A. (2011). Work team diversity.
*3 経済産業省男女共同参画に関する調査 2005年
*4 Harvey, S. (2013). A different perspective: The multiple effects of deep level diversity on group creativity. Journal of Experimental Social Psychology, 49(5), 822-832.
【最強のコミュニケーション術】は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。更新は原則毎月第1火曜日。アーカイブはこちら