山下穂尊は、グループのオリジナルメンバーであり、グループ名の由来ともなった共通体験の持ち主でもある。その大事なメンバーが脱退するにあたって、リーダー水野良樹が6月2日にしたツイートが泣けた。
「青春物語がひとつ終わりを迎えることになりました。あいつと友達に戻れることに、どこかホッとしています。俺ら、信じられない景色を見れたよなー。すっげー楽しかったなー。残る方も旅立つ方も大変だけれど、3人は元気だし、一緒に笑ってます。これからもよろしく。」
いきものがかりの成り立ちと、その成功が、このツイートにすべてが込められているように思えた。
さて、今回はこの脱退劇からビジネスパーソンが何を学ぶべきかを考えてみよう。彼らが国民的音楽グループになるまでのキャリアと、メンバーの脱退から、私たちが学ぶべきことがある。
いきものがかりは「計画的偶発性理論」そのもの
いきものがかりは、スタンフォード大学の心理学者、ジョン・D・クランボルツの「計画的偶発性理論」そのもののようなグループである。簡単に説明するならば、「キャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」というものである。水野と山下の出会い、二人とも生き物係だったことも偶然、吉岡に声をかけたことも偶然だった。いや、これだけのレジェンドグループにおいては、いまや「運命」「必然」のようにも見えてしまうが、実は偶発性の塊のようなグループと言える。
この偶発性を高めるためには、「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」の5つが必要だとされる。結成前も結成後も、このグループやメンバーは、この5つのポイントを見事なまでにおさえていなかったか。水野良樹の「俺ら、信じられない景色を見れたよなー。すっげー楽しかったなー」というツイートに、見事に凝縮されているように思える。
私たちは、いきものがかりにはなれない可能性が高いし、別にならなくてもいい。ただ、彼らのキャリアからも、偶発的なことによって決定されること、「好奇心」「持続性」「楽観性」「柔軟性」「冒険心」の5つを大切にするべきだということを学びたい。