オリジナルの泡盛はあえてデザインをそのままにとどめているそうです。飲みやすい梅酒やスパークリングなどは、より幅広い客層を獲得するとともにで、居酒屋などの流通に乗りやすい商品を増やす試みでもあります。
マーケティングにも力を入れています。10年以上にわたりブログを更新し、蔵見学をYouTubeで配信するなどして、自社の商品を消費者にとってより身近なものにする努力をされています。
これらのチャレンジにより、顧客層を広げることに成功し、様々な企業とのタイアップを実現されています。
4.多角化経営に切り替え既存事業にシナジーを生み出す
最後にご紹介するのは、岡山県にある住宅設備の販売会社です。
こちらは、先代経営者の婿養子として後継者が代表に就任しています。住宅設備の販売会社として、家庭用の流し台や風呂・ガス器具などを販売して地元に愛されていた企業を、より地元密着型にし事業を拡大するために、リフォーム業を開始しました。
事業承継後5年でのチャレンジです。住居の内装仕上げまで行うことで、住宅設備の販売件数が伸び、地域に信頼される企業となっています。
その9年後には、培ってきたリフォームのナレッジを生かしカビを根絶する工法を生み出しました。現在はその全国展開を推し進めています。
こちらの後継者は、実のお父様が建築業を営んでおり、その事業を承継する予定でしたが、奥様のお父様(先代)のたっての希望もあり、婿養子として事業承継を行いました。そして、任せられた企業のトップとして、事業を発展させるために、既存事業にシナジーを生む新規事業を展開し成功を収めています。
事業承継後の事業変革に必要なのは「周囲の賛同」と「覚悟」
上記以外にも後継者による事業変革の成功事例は数えきれないほどあります。冒頭で、成功のポイントを4つご紹介しましたが、その土台となるのは、「周囲の賛同」と成功させるための「覚悟」だということを取材する中で実感してきました。
市況の変化が激しい中で、事業承継後に事業を変革することで成功する企業は生まれやすいのかもしれません。古き良き日本企業の良い部分を後世に残しつつ、新しい価値を提供する企業がより一層増えてほしいと考えております。
【長寿企業大国ニッポンのいま】は、「大廃業時代」の到来が危惧される日本において、中小企業がこれまで育ててきた事業や技術を次の世代にスムーズにつなぐための知識やノウハウを、事業承継士の葛谷篤志氏が解説する「事業承継」コラムです。アーカイブはこちら