まるでミス・ユニバースの質疑応答コーナー
世界各国から集まった同僚たちは話題豊富でオープンマインドな人ばかり。話題はおすすめの旅行先から世界情勢まで多岐に渡ります。クルーにとっては健康管理も仕事もうちなので美容と健康についてシェアする人もいれば、出会った数時間後にもかかわらず恋愛相談をされることもあります。
サービスの後の空き時間にはジャンプシートと呼ばれる離着陸時の乗務員専用の座席に座ってコーヒーや紅茶を片手にお喋りすることが多いです。立ったままのクルーに「一緒に座ろう」と自分の座っているジャンプシートの半分を空けてあげるのも外資系ならではの光景だと思います。
とあるフライトで、ネパール人男性クルーとタイ人女性クルーとサービス後に話していた時にこんな質問をされました。
「日本はどうしてそんなにパーフェクトな国なの?」
海外の人たちからすると日本は全てが整っていて、きちんとした国に見えるようです。こうして褒めてもらうと本当に嬉しいのですが「ありがとう。でも日本にも悪いところや足りないところがあるよ」と答えると、今度は、こんな質問が。
「じゃあ自分の国に関して一つだけ変えることができるとしたら何を変えたい?」
まるでミス・ユニバース世界大会の質疑応答コーナーのような鋭い問いに、考えさせられました!
このような心事高尚な質問が飛んでくるのも、様々な事柄についてあらゆる視点で議論できるのも、多国籍な環境で働いている醍醐味でしょう。
つねに「日本の代表」…自国について学ぶ重要性
国際的な環境で働くには語学力は必須です。中東に住んでいるとは言えアラビア語ができない人たちもたくさんいるので、英語さえできればコミュニケーションには困りません。またその大多数が英語が第一言語でない人たちです。機内でも英語が苦手なお客様と接することも多々あるため、私たちはシンプルでわかりやすい英語を話すように心掛けています。
またトレーニングではいくつかの世界の文化についても勉強します。機内ではアラビアのお客様や食べ物に接する機会が多いのでアラビア文化についてはもちろん、日本文化についても触れられます。日本便では和食や日本茶を提供しているので、盛り付けの仕方やサービスの仕方なども学びます。
トレーニングのクラスでは大抵の場合、日本人は自分一人です。日本文化や習慣などについてインストラクターから説明を求められることもあります。それは機内でも同じことです。
以前、日本に向かう機内でスペイン人の機長から「明日は日曜日だけどお店は開いているの?」と尋ねられたことがありました。ヨーロッパ人の感覚だと、キリスト教の安息日である日曜日はあらゆるお店がお休みなのです。
またクルーから機内食のお麩やこんにゃくについて尋ねられたこともありました。日本の習慣や食べ物についてきちんと説明できるよう勉強することも大事だと気付かされました。
このように多国籍な環境で働いていると「自分が日本の代表として見られている」と自覚することも多いのです。
刺激の絶えないフライト生活
いかがでしたか?
様々なバックグラウンドを持った人たちと世界中を飛び回る生活はとても刺激的です。これからも出会いを大切に学ぶ姿勢を忘れず、そこで得た知識や経験を仕事や人生に落とし込んでいけたらと思います。
【CAのここだけの話】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら