ミラノの創作系男子たち

良き海の男とは? 生粋のヨットマン、アルベルトの答え

安西洋之
安西洋之

 また「良き海の男とは?」と聞いてみた。

 彼は「大自然のなかで、感覚を鋭敏に働かせながら、同時に合理的にこれから起こりうることを瞬時に考えることができる人だ。決して直観だけで動かない」と語る。「これについては世界のどの海に行っても共通だ」と付け加える。

 ヨット以外に好きなスポーツは山歩きとスキーだ。「それでは、街中のジムやジョギングは嫌いですね?」と確認すると、「大嫌いだ!」と首を振って笑う。 

 自然と共に生きるのが生理的に合うようだ。唯一、ぼくにとって意外だったのは、アルベルトは魚釣りも魚をさばくのも魚料理も苦手だ、ということだ。

 実は、インタビュー取材する前に彼の活動に関する資料をネットで探してみたのだが、殆ど見つからなかった。 

「他人や企業のコミュニケーションには散々関わっているくせに、自分自身のプロモートについては全く放置状態だ」と説明するのも、ぼくの目には「らしく」映る。

 そして、前述の数々の最速記録をもつジョヴァンニ・ソルディーニの壮絶な海での戦いをビデオでみて、これらの多くがアルベルトの仕事だと知り、これだけで十分じゃないかとも思う。

 インタビューはZoomで行った。街のなかにいるアルベルトと直接会うのは容易ではなく、リグーリアの高級リゾートであるポルトフィーノにいた彼をつかまえた。ちょっとカメラをずらしてもらうとヨットハーバーが視界に入る場所だ。

 夏のバカンスはいつも家族でクルーズに出る。だからこの時期にホテルに泊まることはない。奥さんも二人の娘たちも、航海には大満足だ。

 ミラノにいるぼくにとって猛烈に羨ましい光景だった。潮の香が懐かしい。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。

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