社会・その他

待ち焦がれた舞台に華を添えるアーティスト、パラリンピック開会式

 障害の有無を乗り越え、多様なあり方を認め合う「共生」を目指す東京パラリンピックが24日、幕を開けた。新型コロナウイルスの感染拡大と大会延期、そして緊急事態宣言下の原則無観客開催。自らが抱えるハンディのみならず、さまざまな難局に立ち向かってきたパラリンピアンは、ようやく待ち焦がれた舞台に立つ。開会式では日の丸を掲げた卓球の岩渕幸洋(こうよう)(26)、トライアスロンの谷真海(まみ)(39)を先頭に日本選手団が入場。13日間の祭典で自らの限界に挑むことを誓った。

 花火で幕開け

 午後8時、夜空に打ち上がった花火が、東京パラリンピック開会式の幕開けを告げた。

 式のコンセプトは「WE HAVE WINGS(私たちには翼がある)」。パラアスリートのように「勇気を出して翼を広げることで、誰もが思わぬ場所に到達できる」というメッセージが表現された。

 会場の国立競技場を「パラ・エアポート」という空港に見立てた。空港で働くスタッフを模した格好の障害者とタレントのはるな愛さんらのダンスで開幕を祝福。全盲のシンガー・ソングライター、佐藤ひらりさんが国歌を歌い上げた。

 タケコプター?

 風をイメージした赤、青、緑の3色の三日月形の巨大な風船が、パラのシンボルマークの「スリーアギトス」を形作った後に選手団の入場行進がスタート。各国・地域の選手団が2つの入り口に分かれ交互に登場した。関係者によると、二手に分かれたのは新型コロナウイルス対応の一環で、時間短縮が目的。五輪と比べ式典全体のコンパクト化を図った。空港の想定に合わせ、複数の滑走路もイメージしていたという。

 選手団の入場行進を出迎え、誘導するスタッフは、人気漫画「ドラえもん」で有名な道具の一つ、タケコプターのようなプロペラを付けた帽子をかぶり、手拍子を打つなどしながら歓迎した。

 布袋さんがギター

 難民選手団を先頭に、選手らは一定の距離を保って歩み、午後9時半過ぎには、日本選手団が姿を見せた。選手・スタッフら約200人は、マスクを着けたまま、笑顔で手を振って行進した。

 その後、「片翼の小さな飛行機」をテーマにした物語が始まった。主人公を演じたのは、上肢下肢に先天性の障害があり左手が自由に動かない和合由依(わごう・ゆい)さん(13)。ギタリストの布袋寅泰(ほてい・ともやす)さんも江戸期の絵師、伊藤若冲(じゃくちゅう)の日本画で装飾したトラックの荷台に乗って登場し、開会式のために書き下ろした曲を全盲のギタリストらと披露した。

 最後に、日本パラスポーツ界の未来を担う車いすの3選手が聖火台に聖火を点火。開会式はフィナーレを迎えた。

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