「です・ます」を使わずに済ましたいときにお勧めなのが、文末を「…」に変えるという方法です。例を見てみましょう。
《例》文末の「です・ます」を「…」に変える
- 「鈴木さんは、普段お酒は何を飲むんですか」
- →「鈴木さんは、普段お酒は何を…」
- 「来週も参加しますか?」
- →「来週の参加は…」
このように、文末の「です・ます」を使わない話し方を挟むと、急な変化を避けることができます。カジュアルな話し方で相手との距離を縮めたい、でも失礼にならないようにしたいというときに試してみてください。
敬語をくずしても敬意が伝わるのはなぜか
皆さんが取引先を訪ねたとします。受付では丁寧な敬語で対応してくれたものの、アポイントの時間を過ぎてからも、立ったまま長く待たされています。どう感じるでしょうか。
おそらく、だんだん不安になってくると思いますし、軽んじられているように感じる人もいると思います。
逆に、入り口近くまで行ったときに、気づいた人がサっと走り寄ってドアを開けてくれた場合はどうでしょうか。多少ゆるめた敬語で挨拶をされても、大事にしてもらっていると感じやすいはずです。
言葉と言葉以外の部分(非言語コミュニケーション)が一致しない場合、私たちは非言語コミュニケーションのほうを信じやすい傾向があります(*3)。
「慇懃無礼」という言葉があるように、言葉は丁寧でも相手を見下すような態度をとる人たちに私たちは敏感なのです。
敬語は、相手を敬う気持ちを表現する方法の一つです。敬う気持ちは言葉遣いだけでなく、行動、表情、話の聴き方などでも表現されています。ややカジュアルな話し方をしても、言葉以外の部分で敬意を表現して、総合点が変わらないようにして、相手を大切にしているという気持ちを伝えましょう。
会話が盛り上がったところで多少敬語をゆるめても、大事な場面や帰りの挨拶などにしっかりした敬語を使うことで、逆に礼儀正しい人という印象を持ってもらうこともできます。場面、話題などを考慮して、敬語をゆるめたほうがいいと感じたときには、ぜひゆるい敬語を使ってみてください。これまで人と仲良くなるのが苦手だと感じていた人も、距離を縮めるのが楽になったと感じるはずです。
参考文献
*1 文化庁「国語に関する世論調査」平成10年度
*2 藤田尚弓(2021)いい人間関係は敬語のくずし方で決まる(青春出版社)
*3 Blanck, P. D., & Rosenthal, R. (1982). Developing strategies for decoding “leaky” messages: On learning how and when to decode discrepant and consistent social communications. In Development of nonverbal behavior in children (pp. 203-229). Springer, New York, NY.
【最強のコミュニケーション術】は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。更新は原則毎月第1火曜日。アーカイブはこちら