働き方

自民党総裁選にも物申す 新しい知事会の発信力

 「全米知事会のようなロビー活動団体に」。人口最少県から初めて全国知事会長になった平井伸治・鳥取県知事は、知事会が進むべき道をこう指し示した。就任と同時に知事会の機構改革を行い、政策立案・提言組織「国民運動本部」を新設。新型コロナウイルス対策を最優先課題に掲げ、間近に迫った自民党総裁選、衆院選に向けて知事会の意思を国の施策に反映させようとスタートを切った。

 オンラインで所信表明

 2年間の会長任期が始まった3日、知事会の主要メンバー5人がオンラインで会議を開いた。テーマごとに対策本部と常任委員会、特別委員会で構成する知事会。平井氏に続いて、各県庁のカメラの前に控えた「国民運動本部長」の村井嘉浩・宮城県知事、「脱炭素・地球温暖化対策本部長」の阿部守一・長野県知事らが順にあいさつした。

 「今までは国と知事会は垂直の関係だったが、これからは経済団体、医師会などと連携し横展開して国に物申す。行動する知事会としてメッセージを発する」

 平井氏はこう所信を表明し、「コロナを乗り越える新たな地方創生・日本創造本部」(本部長、谷本正憲・石川県知事)を加えた新設3本部を中心に政策立案して国や国民に提言、働きかける方針を提示。「新しい地方自治を知事会からつくり上げていく」と語った。

 40道府県知事推薦で無投票当選

 「神田川近くで生まれ育った。全国の知事の中でも一番の都会人」の平井氏は9月17日で60歳となった。東大法学部卒業後、昭和59年に自治省(現総務省)に入省。鳥取県副知事などを経て平成19年の同県知事選で初当選し、現在4期目の折り返しを過ぎたところだ。

 「スタバはないけど、日本一のスナバ(鳥取砂丘)がある」

 平井氏を全国区にしたのは、ダジャレを駆使したインパクトのあるキャッチフレーズの発信だ。知名度の積み重ねに加えて、新型コロナウイルス対策では全国の知事の代表として、尾身茂氏が会長を務める国の対策分科会メンバーに。自ら「鳥取方式」と呼ぶ徹底した新型コロナ対策とともに、注目を集める。

 前知事会長の飯泉嘉門・徳島県知事が任期満了で退任する見込みとなったあと、後継会長として名前が急浮上し、8月30日、過去最多となる40道府県知事からの推薦を受け、無投票で会長選出が決まった。

 平井氏は「都会と地方の両方を知っており、体感的に地方自治を語ることができる」と、強みを指摘した。

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