若手のフォローという意味では、メンター制度を導入する企業や、上司との1対1での面談「1on1」を導入する企業も増えている。これも有効ではあるが、あくまで上司、先輩という関係の枠にとどまった手段といえる。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入に熱心な企業では、バーチャルオフィスを採用する動きもある。普通のテレワークではなく、仮想空間上のオフィスを設定し、その中での安心感を提供したり、つながりを生み出したりする試みである。ただしこれも、導入している企業は限られる。
元トヨタ管理職員たちに「ある特徴」
では、どうするか。つきなみではあるが、業務の中で、若手社員に関心を持つこと、さらには、話しかける機会を意識的につくることがポイントである。
トヨタ自動車で管理職を経験した人たちに取材したことがある。彼らは常に部下に注目している。ガチガチに管理するわけではない。部下たちに関心を持つのだ。その働き方に注目する。やる気に満ちあふれているようで、実は空回りしていたり、業務中に苦しい顔をしていたり、明らかに仕事にムラがあったりすることもある。そんな様子を確認し、声をかけ、サポートする。この観察し、話しかけるという行為を業務の中に取り入れている。職場に出社した際にせよ、オンラインにせよ、この相手に対して関心を持つこと、話しかけることを意識したい。職場の場合は、距離に気をつけなくてはならないのだが。休憩スポット、トイレなどホッとする場などでも効果的だ。
会議の中で、意識的に発言の機会を設け、その場で交流することも有効だ。もちろん、効率化が重視される中、会議の時間が増えることになり、やや時代の流れに逆行するという批判もあるだろう。しかし、オンライン化による孤独・孤立が問題となる中、会議の中に、あえて飲み会的な雰囲気をつくり、意見や人となりがわかるようにする工夫は有益だろう。
オンラインの社内コミュニティや、チャットでの交流も有効だ。このようなホッとするつながりをつくることが居場所づくりになる。
人類は未だにコロナを克服したわけでも、共存できたわけでもない。その中で苦しんでいる若手をスルーせずに、フォローしよう。職場の活性化にもつながるはずだ。
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