社会・その他
岸和田だんじり祭に見物多数 「生活の一部」「感染心配」賛否が交錯
「参加なら取引停止」
岸和田市役所には、開催前から中止を求める電話が殺到した。同市観光課に1日100件を超える電話があったこともある。担当者は「市外や府外からの電話もあった。祭りの開催はあくまで各町の判断と説明し、理解を求めている」と話す。
市内には重苦しい空気も漂った。自営業の40代男性は、仕事の取引先から「祭りに参加するなら取引を停止する」と迫られ、参加を断念した。「参加した場合、祭りの後は仕事を2週間休んでほしい」と告げられた医療従事者もいた。
岸和田市にはだんじり祭を誇りにし、それを楽しみに1年を過ごす人も多い。見物しながらも複雑な思いを口にする男性(68)がいた。「参加者も大声を出しているし、飛沫(ひまつ)が飛ぶので心配だ。毎年楽しみにしているが、今年は中止の方がいいと思っていた」。異例の祭りは19日も行われる。
りんくう総合医療センターの倭(やまと)正也・感染症センター長は「ようやく感染者が減少傾向にあり、病床にも若干の余裕が生まれたこの段階で、大規模なイベントが開催されたことは非常に残念だ」と話す。一方、だんじりが神事や伝統行事であることには理解を示し、「参加後に少しでも(コロナの)疑わしい症状が出れば、感染拡大を防ぐためにもすぐに医療機関に行ってほしい」と求めた。(牛島要平、石橋明日佳)