働き方ラボ

テレワークの普及は無駄に終わるのか? 宣言解除で自由度向上、進化はこれからだ

常見陽平
常見陽平

仕事場所選びの「落とし穴」

 もっとも、すべての企業がサテライトオフィスを用意してくれるわけではない。自分で開拓しなくてはならないこともあるだろう。ただ、どこで仕事をするかは気をつけなくてはならない。これであなたの信頼がストップ安になる可能性があるからだ。

 ノマドブームの際に絶句したのは、六本木のスタバで「大手をやめた僕が考える最強のワクワクプラン」のような企画を書いていたノマドワーカーを見かけたことだ。まず、企画書が寒い。路頭に迷わないように、その場で説教してやろうと思ったほどだ。彼はいま、元気なのだろうか。ただ、企画の寒さはともかく、「人に見られる状態」で仕事をするなと言いたくなった。この「わくわくプラン」なるものにも機密性はあるわけだ。

 もう1つ、やはり脱力したのが、新橋のケンタッキーフライドチキンで見かけたビジネスパーソンだ。この店は電源が使えることが魅力的だったのだが、会社員が顧客企業の名前が丸見えの状態で「次世代情報セキュリティーシステムのご提案」という企画書を書いていたのだ。まず、「お前の情報セキュリティーをなんとかしろ!」と、やはりその場で説教をしてやりたくなった。外で働く際は「見られている」ということを意識したい。自分だけでなく、勤務先の信用まで落ちてしまう。

 ここでの問題は、単に資料が見られてしまうかどうかだけでない。打ち合わせなどを行う場合は、周りに人がいないかどうかにも注意したい。今や、カフェなどからオンライン会議に参加する人はいるが、とはいえ、周りの人に迷惑である。さらに、外で機密性の高い話をしているとなったら信頼を失いかねない。

 最近では、コワーキングスペースなどでも個室が用意されていることがある。駅などでも、電話ボックスを進化させたような、10~15分単位で利用できる個室が用意されている。カラオケボックスや、ビジネスホテルなどでもテレワークプランが用意されている。会社の経費で落とせる場合は、これらを活用する手もあるだろう。

 なお、裏技は、最近流行っているスペースレンタルサービスの活用だ。オフィスや各種スタジオなどを1時間単位でレンタルできるものである。意外にお得な料金で、しかもユニークかつ快適なスペースを活用できる。ぜひ、選択肢に入れておこう。

 家にいると、これはこれで行き詰まってしまう。オフィスでも自宅でもない場所で働くという選択肢もある。

 さて、あの「わくわくプラン」の彼は、いま、どこで何をしているのだろうか。

常見陽平(つねみ・ようへい)
常見陽平(つねみ・ようへい) 千葉商科大学国際教養学部准教授
働き方評論家 いしかわUIターン応援団長
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。リクルート、バンダイ、クオリティ・オブ・ライフ、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部准教授。専攻は労働社会学。働き方をテーマに執筆、講演に没頭中。主な著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら。その他、YouTubeチャンネル「常見陽平」も随時更新中。

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