「ビジネス視点」で読み解く農業

米価下落から考えなくてはいけない「農業の本質」

池本博則
池本博則

“儲かる農業”は明るい農業の未来のための政策とされます。しかし、日本で起こっているこの危機的な状況について具体的に言及せずに、ただ、世界に日本の生産物を売り出せばよいと主張する人も存在するほどです。

 自国民への食糧の安定供給が維持できない状態で輸出をメインに据えた消費拡大の検討をするのはあまりにもナンセンスだと痛切に思います。今、目の前の米価の低下はまさにそれを指し示している大きなインシデントだと認識をしなくてはいけないとみんな気づかなくちゃいけない。

 農業産出額に対する農業予算の割合を国ごとに比較をすると、日本27%に対してアメリカは65%。また、日本の農業所得に対する「直接支払い」の割合は15.6%に対して欧州は90%以上、アメリカの穀物系農家で50%前後と、欧米各国では準公務員的扱いで自国向け食糧を生産する農家をしっかり守り、自国の食糧安全保障を重視しています。日本以外の諸国は自国の農業を保障し、育てる変革を作り上げているのです。「農業」を「農業ビジネス」へ変革しているといえると思います。

 日本はどうですか? まだ「農業」から「農業ビジネス」へ変革出来ていない状況ですよね。国として、米農家さんをはじめ、未来の農業の姿をしっかりととらえた構築をしていくことが求められていると感じています。

 日本の国をよくするために、農業の未来をよくするために今、考える時期にきているのではないでしょうか?

池本博則(いけもと・ひろのり)
池本博則(いけもと・ひろのり) 株式会社マイナビ 執行役員 農業活性事業部事業部長
徳島県出身。2003年に株式会社マイナビ入社。就職情報事業本部で国内外大手企業の採用活動の支援を担当。17年8月より農業情報総合サイト「マイナビ農業」をスタートし、本格的に新規事業として農業分野に参入。「農業の未来を良くする」というVISIONを掲げ、日々農業に係る全ての人に「楽しい」「便利」「面白い」サービスを提供できる事業の創出のため土いじりから講演活動まで日本全国を奔走中!

【「ビジネス視点」で読み解く農業】「農業」マーケットを如何に採算のとれるビジネスとして捉えていくか-総合農業情報サイト『マイナビ農業』の池本博則氏が様々な取り組みを事例をもとにお伝えしていきます。更新は原則、隔週木曜日です。アーカイブはこちら

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