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大都市集中リスクで地方創生も変革期 ベンチャーに求められる新産業創出 (2/3ページ)

大谷一夫
大谷一夫

 2020年は地方の構造改革元年

 ところがCOVID-19 によって環境は大きく変わり、20年は地方の構造改革元年と言っても過言ではありません。各地域で完結する経済圏はローカル経済と呼ばれ、日本のGDP(国内総生産)の7割を占めると言われていますが、それが大打撃を受けるというシナリオと、デジタルインフラの普及に伴う都市機能の地方への分散という2つのシナリオが同時に進行しているからです。

 地方創生もまさに変革期へ突入しつつあり、キーワードも依存から「自立」に代わろうとしています。地方創生にかかわるスタートアップには、主導役のイノベーターを集めて域内の経済基盤を作り、新産業の創出を推進するといった役割が求められるようになるでしょう。

 域内の経済基盤づくり

 経済面での自立の事例が、ふるさと納税総合サイトを運営するトラストバンクの「chica(チーカ)」です。自治体向けの地域通貨プラットフォームサービスで、高齢者が使用しやすいようにカードタイプを用意しているほか、ボランティアや健康イベントへの参加によってポイントがもらえる機能を付加するなど、地域内の幅広い世帯・用途で活用できるように設計しています。

 chaintopeは、ブロックチェーンで管理されたデジタル証券「STO」を活用した新たな地域通貨を提唱しています。地域内だけで流通する現在の仕組みを、外部からSTOによって調達可能にすることで拡張性を持たせています。こういったシステムが出来上がれば、地域通貨が地域の大きな原資となることでしょう。

 スタートアップが地域未来を創造

 産業の自立という観点からは山形県鶴岡市の事例を紹介しましょう。かつては農業に依存した消滅可能性都市と言われていましたが、産業政策の転換に着手して慶應義塾大学先端生命科学研究所を誘致した結果、6社のベンチャーが誕生しました。代表的な企業が、人工たんぱく質素材の開発で知られるSpiber(スパイバー)です。資金調達額は累計で300億円近くに達しており、山形の地域経済に大きなインパクトを与えています。同社からスピンアウトする形で設立されたヤマガタデザインというベンチャーは、地方銀行などから30億円以上の資金を集めて先進的なホテルや児童施設の建設に携わり、地域の景観を大きく変えました。スタートアップが新たな地域産業と地域の未来を創造するというこうした動きは「鶴岡の奇跡」と言われておりますが、今後他の地域でも顕在化すると思っています。

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