【最強のコミュニケーション術】意見が食い違ったら、どうしている? 「自覚」と「使い分け」でトラブルは減る

 
画像はイメージです(Getty Images)

 伝え方や言い回しを変えると、自分を取り巻く環境が変わり、やってくるチャンスも変わっていきます。皆さんは自分のコミュニケーション能力に自信がありますか?

 この連載ではコミュニケーション研究家の藤田尚弓が、ビジネスシーンで役立つ「最強のコミュニケーション術」をご紹介していきます。

 第1回は「意見の食い違い」がテーマ。

 普段は上手にコミュニケーションがとれている人も、意見が食い違うシーンでは、伝え方で思わぬ失敗をしてしまうことがあります。相手も自分も大切にする断定的な話し方が流行したこともありますが、それだけでは解決できないケースも多いのは皆さんお気づきの通り。意見が食い違った場合には、どうすればいいのでしょうか。

対立したとき、自分はどうしている?

 意見が対立したとき、自分がどのような言動をとる傾向があるのか。簡単なセルフチェックテストを作ってみましたのでやってみてください。

 【設問1】意見が食い違ったときにあなたがよくとる行動はどれですか?

 A.自分の意見を理解してもらおうとする
 B.相手に合わせることが多い
 C.しっかり話し合って双方に良い解決策を出すようにする
 D.その場では話し合わず後にしてもらうことが多い

 【設問2】最近あった意見の対立を思い出してみてください。どのような結果に落ち着きましたか?

 A.自分の意見の正しさを伝えた
 B.妥協して相手の主張を受け容れた
 C.時間をかけて話し合い、納得できる着地点に落ち着いた
 D.まだ解決はしていない

 【設問3】どんなときに、より残念な気持ちになりますか?

 A.自分の意見が通らなかったとき
 B.相手に悪いなと感じたとき
 C.話し合いの時間を十分にとれなかったとき
 D.自分が忙しいときに、話し合う時間をとられるとき

テストでわかる4つの傾向

 さて皆さんは、どの項目が多かったでしょうか。

 このチェックテストは心理学者のトーマスとキルマンの理論をベースに、筆者が作成した簡易的なものですが、あなたの傾向を大まかに、次の4タイプに振り分けることができます。

 Aが多かったという人は「主張」、Bは「譲歩」、Cは「協調」、Dは「先送り」のコミュニケーションをとる傾向が強い可能性があります。(自分のタイプをより正確に知りたい人には、企業研修などで利用される「トーマス-キルマン コンフリクト・モード検査」という心理検査をお勧めします。)

 「Cの協調ができるようになればいいのか」と思う人もいると思いますが、対立のときのコミュニケーションタイプに優劣はありません。自分の傾向を自覚したうえで、場面に合わせて、それぞれを使い分けるのが理想です。

 3つの設問をチェックしてみて「そのときによって違うな」と思った人は、すでに使い分けができている可能性が高いでしょう。

ポイントは「使い分け」

 では次に、どのように使いわけがいいのかを一つずつ見ていきましょう。想定されるビジネスシーンで考えてみます。

 ◆スピード重視なら「主張」

 明らかに自分の意見が会社のためになるケース、スピードを要するケースなどでは「主張」のコミュニケーションを選ぶのがよいでしょう。

 【例】「この案件は先方の担当者からの情報で、予算よりもスピード重視で間違いありません。このまま進めてください」

 相手は自分が正しい意見を言っていると考えています。それを考慮したうえで、本当に主張が必要な案件なのかを判断するのがポイントです。

 ◆「譲歩」は次回に繋げる手にもなる

 自分にとってはどちらでもいいような案件については、譲るのもよい方法です。

 【例】「じゃあ、君の推すA案でいこうか」

 ただし、なんでも譲っていると「感謝されなくなる」「意見がない人だと思われる」といった弊害もあるので、譲歩のし過ぎには注意してください。

 「本当は自分の意見を通したいんだけど、今回は…」というニュアンスをセットにして、次回の相手の譲歩に繋げるというテクニックもあります。

 ◆双方の納得が必要なら「協調」

 重要であり、お互いの納得が必要な案件については、じっくり話し合って決めるといいでしょう。

 【例】「お互いが気持ちよく仕事をするためには、どんな解決方法があるだろうか。じっくり話し合ってみないか」

 時間がかかる方法なので、日常のすべての案件でこのやり方をしようとすると効率が悪くなります。どんな案件で使うべきなのかを見極めましょう。

 ◆「先送り」が適切なケースとは

 感情の沈静化を待ったほうがいい案件や、しばらく様子を見てから決めたい案件については先送りのコミュニケーションも有効です。

 【例】「差し支えなければ、この件の返事は来週にさせてもらいたいんだけど」

 多く使ってしまうと信頼関係にヒビが入りやすくなります。問題や相手を軽んじているわけではないという意思表示とセットで使うことを意識しましょう。

反射的に発言しない

 意見が対立したとき、私たちは自分が得意なコミュニケーションスタイルを使いがちです。例えば、普段から主張することが多い人は、重要でない案件でも自分の意見を通そうとしがちですし、普段から譲歩を多くする人では、嫌だなと思うことも譲ってしまいがちです。

 意見が食い違ったときには、反射的に発言しないのがポイントです。場面に合わせ、どのタイプを使うか考えることで、人間関係のトラブルを減らすことができるでしょう。

藤田尚弓(ふじた・なおみ)

コミュニケーション研究家
早稲田大学オープンカレッジ講師
株式会社アップウェブ代表取締役
企業のマニュアルやトレーニングプログラムの開発、テレビでの解説、コラム執筆など、コミュニケーション研究をベースにし幅広く活動。著書は「NOと言えないあなたの気くばり交渉術」(ダイヤモンド社)他多数。

【最強のコミュニケーション術】は、コミュニケーション研究家の藤田尚弓さんが、様々なコミュニケーションの場面をテーマに、ビジネスシーンですぐに役立つ行動パターンや言い回しを心理学の理論も参考にしながらご紹介する連載コラムです。更新は原則毎月第1火曜日。

▼「最強のコミュニケーション術」アーカイブへ