【マック&ユニクロ流人財育成】新入社員はこう受け入れよ 「オリエンテーション」の重要性
【マック&ユニクロ流人財育成】4月になると、皆様の会社でも新卒社員の方や大学生になったばかりの新人アルバイト、中途社員の方が多く入社される時期ではないでしょうか。
人財を育てるためには、しっかりと迎え入れの準備を行う必要があります。
今回はその準備方法や心構えをお伝えしましょう。
今の新入社員は何を重視しているか
まず、今の新入社員は仕事をするにあたり、何を重視しているのかを見ていきましょう。
私が経営する会社で4月に実施しているグローイング・アカデミー新入社員研修において、参加した大学卒の新入社員を対象にアンケートを実施しました。
ワークライフバランスを重視する方がもっとも多くいましたが、「会社の雰囲気が自分に合うこと」「上司や同僚とコミュニケーションが取れること」が次点で多く、会社の風土を重視する方も半数以上いました。
これは新入社員に限らず、アルバイトや中途社員でも同じ考えだと思います。
アルバイトや新入社員の定着率を高めるためには、受け入れる側のコミュニケーションスキルを高めていくことが大切なのです。
マクドナルドでは新入社員の時からコミュニケーションスキルのトレーニングを実施しています。店舗に配属されるとアルバイトスタッフが多くいるうえ、ゆくゆくは店長に昇格し、スタッフをマネジメントする立場になるからです。
コミュニケーションスキルを鍛えることに、早い・遅いはありません。
「相手を認める」ことから
コミュニケーションを図る上で大切なことは、相手を認めること。忙しい時でもしっかりとあいさつをし、1人1人を名前で呼ぶ。そして、相手の目をみて話し、命令ではなく依頼をする。それを実行してくれたときは感謝の気持ちを伝えることです。
全て当たり前のことですが、意外とおろそかになりがちです。
また、聞く姿勢を持つことも必要です。
コミュニケーションの基本は、相手の話を聞いて理解することです。
ただし、新人から上司や周りのスタッフにはなかなか話しかけにくいものです。
そのために、相手が話したいことを引き出す事が大切です。
何かを言いたそうなときは声をかけて話を引き出したり、話しかけられた時は仕事の手を止めて相手の話を聞きます。
特にサービス業の現場は、日々めまぐるしく時間が過ぎ、新人にとっては呼び止める事が難しい状況であり、呼び止められた方も面倒に感じる事があるかもしれません。
ただ、新人は“自分の為に時間を使って話を聞いてくれている”という体験を重ねることで、相手に対する信頼感が生まれます。最初のうちにコミュニケーションをしっかり取っておくことで、後々の仕事のやり方が変わってきます。
オリエンテーションは非常に重要だ
コミュニケーションをとる場として、初日に実施するオリエンテーションが非常に重要だと思います。
オリエンテーションの目的は、新人の不安を取り除くことです。
オリエンテーションを実施している企業では、会社やお店のルールを知ってもらうという事はもちろん、仕事のやり方、スケジュール(シフト)などの考え方、身だしなみの説明といった内容が大半だと思います。
マクドナルドやユニクロでも、アルバイト採用が決まると実際に店舗で働く前にオリエンテーションを必ず実施していました。中でも私の在籍当時のユニクロは、経営理念やブランドメッセージ、ミッションや基本方針、評価等、細かく説明をしていました。
さて、この場で必要となるコミュニケーションスキルですが、歓迎の姿勢を示すということです。
入社してくれた感謝の気持ちを伝えたり、質問を受けたら目を見て丁寧に答える。また、「最初は失敗しても良い」といったアドバイスを伝えることで緊張や不安が解消されるでしょう。
チェックシートを作成しておく
オリエンテーションで話す内容は、あらかじめチェックシートを作成しておくと良いと思います。
例えば「仕事の基本編」という大項目の中に、「会社紹介」「ハウスルールについて」「身だしなみについて」という項目を縦に並べます。
横軸として、「説明した」「実施した」「理解した」「一人でできる」等、進捗状況を記載し、達成したものから印を押し、チェック表をすべて埋めることができれば新人研修のゴールとする、というものです。
このようなツールを準備すると、トレーナーが複数人にまたがる場合でも研修の進捗状況がわかることや、本人の成果を見える化することで、成長意欲を引き出す事ができます。双方にメリットがあるのです。
新しい環境に挑む新人スタッフは、大きな不安を抱えています。
その不安を取り除くためにもツールを活用したり、会社全体でコミュニケーションを取る姿勢を見せることで、定着率を高め、成長意欲あふれる人財を育てていきましょう。
【プロフィール】有本均(ありもと・ひとし)
1956年、愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部入学後、大学1年からマクドナルドでアルバイトを始め、1979年、日本マクドナルド株式会社に入社。店長、スーパーバイザー、統括マネージャーを歴任後、マクドナルドの教育責任者である「ハンバーガー大学」の学長に就任。2003年、株式会社ファーストリテイリングの柳井社長(当時)に招かれ、ユニクロの教育責任者である「ユニクロ大学」の部長に就任。その後、株式会社バーガーキング・ジャパンの代表取締役など、外食・サービス業の代表、役員を歴任する。2012年、ホスピタリティ&グローイング・ジャパンを設立。マクドナルド、ユニクロ等を経験して得た「人財育成のノウハウ」を活かし、世界中のサービス業の発展を目指す。著書に「どんな人でも一流に育つしくみ」。
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【マック&ユニクロ流人財育成】は有本均さんが人を上手に育て会社を成長させる人材育成のノウハウを伝える連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。
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