【マック&ユニクロ流人財育成】人財育成に素質は不要! 「仕組み」と「徹底力」がサービス業の未来を変える
【マック&ユニクロ流人財育成】 ここまで9回に渡り、私の経験をもとに、人財育成のポイントについてお伝えしてきました。
総括として、私は人財育成に対して本人の素質は不要だと思っています。
経営者は「人は誰でも成長意欲を持っており、誰もが成長していくことができる」という信念が必要です。
マクドナルドの強みは「レベルの高い仕組み」
採用の時点で素質があるかどうかを見分けることはできませんし、労働人口は減少しているにもかかわらず、サービス業で働く場は増え続けているので、採用の段階で質の高い人財を揃えることはできません。
この時代だからこそ、人財を育てていく仕組みが必要になるのです。
サービス業の中でも、人財育成に関してレベルの高い仕組みを有していた企業は、日本マクドナルドとファーストリテイリングだといわれています。
マクドナルドでは店長の素質に頼らない育成システムが整っています。
全国に店舗があり、4桁の店舗数を展開していると、それらすべてに優秀な店長を配属させる事は不可能です。
また、入社1年の新人が半年後や1年後に店長に任命され、何人ものアルバイトを束ねながら業績を上げていくという難易度の高い業務をこなさなければなりません。
そこで、マクドナルドではコミュニケーションの取り方等の研修を新入社員のときから実施していたり、店長が部下を育成していく事を、本部がサポートしていく仕組みがあり、そのためにツールやルールが整備されているのです。
ユニクロの強みは「徹底力」
一方、ユニクロの強みは、徹底力だと感じています。
ユニクロではマクドナルドと同等のマニュアルがありました。マニュアルを徹底し、問題点があればきちんと指摘し改善するように指導を行いますが、この部分がユニクロでは徹底されていました。
両社とも、店舗が多いだけではなく変化のスピードも速いので、毎週新しい情報を各店舗まで浸透させなければなりません。
つまり、徹底力が弱ければそれだけ差が生じ、大きな課題となります。
そして情報を反映させていくには、個々のスタッフの高い能力が必要です。
よく、有名な企業だから最初から優秀な人財が集まるのでは、と思われますが、全ての人が最初から優秀だったのか、といわれるとそうではありません。
それでも、会社に貢献できる人財を育てる仕組みがあったので、エリアマネジャーや店長、アルバイトという各層に優秀な人物を配属でき、徹底することができていたのだと思います。
その結果、お客様に対して安定した価値を提供することができ、利益につながっていくのです。
育成には「仕組みと愛情と忍耐」が必要です。
これまでの連載で述べた内容は、どれも当たり前だといわれる事ばかりだと思います。
ただ、人財育成というものは「当たり前のことを、どれだけ忍耐強く行っていけるか」がカギだと思います。
人を成長させ、企業の発展とともに個々の未来を輝かせるためには、素質に関係なく企業にふさわしい人間に育てていかなければなりません。
東京五輪を機に日本への期待はますます高まる
日本のサービス業で働く方たちのレベルの高さは世界トップレベルであり、平均点の高さは圧倒的です。
また、2020年に控える東京オリンピックで訪日外国人が増え、その期待はますます高まっていくことでしょう。
そのトップレベルの人たちを育成し、さらにレベルを上げなければならない。これほど難易度が高く、やりがいのある仕事はないと私は思います。
もちろん一筋縄でいくことではありません。
思い返せば、私の過去の経験は恥ずかしい失敗談ばかりです。
ただ、失敗から学ぶことの方が多く、今の仕事に活かされています。
私が尊敬する米国マクドナルドの創始者、レイ・クロックの名言です。
“As long as you’re green, you’re growing. As soon as you’re ripe, you start to rot.”(未熟である限り成長をする。成熟したとたんに腐敗が始まる)
この言葉を胸に、私自身も成長するとともに、サービス業の未来を変えていきます。
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10回を数えたこの連載もひとまず一区切りとさせて頂きます。ご紹介してきた「マック・ユニクロ流」の人財育成を参考に、皆さんの企業や、そこで働く皆さんが成果を上げられることを祈っています。(おわり)
【プロフィール】有本均(ありもと・ひとし)
1956年、愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部入学後、大学1年からマクドナルドでアルバイトを始め、1979年、日本マクドナルド株式会社に入社。店長、スーパーバイザー、統括マネージャーを歴任後、マクドナルドの教育責任者である「ハンバーガー大学」の学長に就任。2003年、株式会社ファーストリテイリングの柳井社長(当時)に招かれ、ユニクロの教育責任者である「ユニクロ大学」の部長に就任。その後、株式会社バーガーキング・ジャパンの代表取締役など、外食・サービス業の代表、役員を歴任する。2012年、ホスピタリティ&グローイング・ジャパンを設立。マクドナルド、ユニクロ等を経験して得た「人財育成のノウハウ」を活かし、世界中のサービス業の発展を目指す。著書に「どんな人でも一流に育つしくみ」。
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【マック&ユニクロ流人財育成】は有本均さんが人を上手に育て会社を成長させる人材育成のノウハウを伝える連載コラムです。アーカイブはこちら。
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