CAのここだけの話♪

LCCでの旅を素敵にする10の方法 「ログブック」をご存知ですか?

川上涼子

 SankeiBizの読者のみなさんにだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第51回は東南アジア系航空会社でCAとして乗務2年目の川上涼子がお送りします。

日系航空会社で5年間乗務した後に転職、現在は東南アジア系航空会社のCAとして働く川上涼子さん(本人提供)
マレーシア在住の川上さん。写真は自宅マンションのプール。マレーシアでは多くのマンションにプールとジムが備わっています(本人提供)
フライトでハワイへ。同じ便に乗務していたCA員と共に、紫色のパンケーキが美味しいと人気レストランに行きました。ソースの色がとってもビビッド!(川上涼子さん提供)
イランの首都、テヘランを歩いているとたくさんのスパイス店を目にしました。どのお店も、色とりどりで種類も豊富!(川上涼子さん提供)
イランの街でパン作りを見学していると優しい職人さんがパンを下さいました。街にはミシン店が多く、たくさんのミシンが売られていることも印象的でした(川上涼子さん提供)
紅海に臨むサウジアラビアの都市、ジッダ。1日数回、お祈りの時間になると街にコーランが流れます。仕事も中断するため、その時間は商店なども一時閉店になります(川上涼子さん提供)
パキスタンとの国境近くに位置するインドの都市、アムリトサル。宿泊先のホテルのエレベーターで、結婚パーティーに参加するという女性と一緒になりました(川上涼子さん提供)
インドのアムリトサルにはシーク教徒の総本山、ゴールデンテンプル(黄金寺院)があります。操縦士やCAの仲間たちと訪れました(川上涼子さん提供)

 みなさんはLCC(格安航空会社)を利用したこと、ありますか? LCCというと、「空港が遠い」「遅延が多い」などのデメリットを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、出張など時間に制約のないご旅行であればLCCのご利用もおすすめです。

そもそもLCCと従来の航空会社の違いとは?

ご存知の方も多いとは思いますが、LCCは「ローコストキャリア」の略で、低価格の運賃が大きな特徴です。一方、LCCの登場前からなじみのある従来型の旅客サービスを提供している航空会社は「フルサービスキャリア(FSC)」と呼ばれます。これらの大きな違いは以下の通りです。

▼LCC(格安航空会社)

・運賃が低価格
・預け荷物が有料
・座席指定が有料
・座席の幅が狭い
・モニターでの映画、音楽観賞不可
・ドリンク、食事が有料

▼フルサービスキャリア(従来の航空会社)

・重量制限はあるが預け荷物が無料
・座席指定が無料
・座席の幅が広い
・モニターでの映画観賞(*1)・音楽観賞が可能
・ドリンク・食事(*2)が無料
 *1多くの会社は国際線のみ、*2国際線のみ

 このようにLCCは、旅客サービスを必要最低限にとどめるなど、効率的な運営により安価な運賃を実現しています。一方で、フルサービスキャリアのようなサービスを想定して利用しようとすると、思わぬ超過料金が発生したりもします。

LCCでの旅をより快適にする工夫

 そこで、今回は、制限が多いLCCの旅を素敵にする10の方法をご紹介します。

1. 預け荷物は最小化する

 ご利用のLCCで規定されている機内持込が可能な手荷物の大きさ、重量、個数をホームページで確認しましょう。そしてご自身の荷物がそれを上回っていれば、その分のみを預け、預け荷物の料金を最小限に抑えましょう。

 また、フルサービスキャリアご利用の際にも共通することですが、機内持込が禁止されているもの、反対に預けることが禁止されているものを事前に把握し、荷物を分けておくことも旅の基本です。

2. 座席移動を頼んでみる

 LCCは座席の幅が狭いというデメリットがあります。離陸し、シートベルト着用サインが消灯した後に座席移動を試みましょう。お客様の人数が少ない日は横3席空いていることもあり、横になってお休み頂けます。

3. タブレットや本を持参する

 LCCでは座席前のモニターで映画や音楽をお楽しみ頂くことができません。眠れない時のためにひま潰しアイテムを持参しましょう。ちなみに、フルサービスキャリアでも、国内線ではモニターがない会社が多いです。

4. お腹が空いたら食事を注文する

 お客様が食べたいタイミングで食べたいものを食べたい量だけ注文するというシステムを採用するLCCは合理的かつ廃棄が少なくエコでもあります。せっかくフルサービスキャリアに乗ったのに、旅行先のお食事で満腹…。機内では終始お休みになっていてドリンクもお食事も逃してしまった…という経験がある方にはLCCのような注文方式はご都合に合うかもしれません。

5. ブランケットを持ち込む

 LCCではブランケットの貸し出しが有料です。男性はブランケットを携行することにやや抵抗があるかもしれませんが持ち込みをおすすめします。なぜなら、たまに機内が寒いという航空会社の話を耳にするからです。機内が寒い場合、まずCAに空調の温度を上げてもらうのが先決ですが、ブランケットがあるに越したことはありません。

LCCでも、フルサービスキャリアでも使いたい“裏技"

 ここからは、LCCだけでなくフルーサービスキャリアにも共通するポイントです。

6. 時間がない場合の座席移動

 目的地到着後、乗継便まで時間に余裕がない場合や、最終電車の時間が迫っている場合はCAに伝えてみて下さい。出口付近に空席があり、かつ乗継便まで時間がないお客様が多くなければ座席移動ができ、早く降機できます。

7. CAに空港からの行き方をたずねる

 空港に着いたのは良いものの、初めて訪れる場所でスムーズに次の交通機関に乗り換えることは難しいですよね。日本国内ならまだしも海外、特に英語が通じにくい国の場合、どこで聞いて良いかさえわからない場合もあります。

そんな時はフライト中、降機前にCAに聞いてみてはいかがでしょうか? 日本人CAでも、到着地の国に住んでいることが多くあります。その場合、その空港の交通機関について知っているはずなので、日本語で説明が聞けます。

 空港からの交通手段や行き方にとどまらず、例えば到着地の国でおすすめのスポットやレストランなどを、その国在住の日本人CAに聞くのも手です。居住者だからこそ知っている情報が得られるかもしれませんよ!

8. CAに「ログブック」を記入してもらう

 「ログブック」というのは、飛行機に乗った記録を残す手帳のようなものです。ご搭乗される際、お客様からCAにお渡し頂き、到着前後のタイミングでお客様にお返しする流れです。

 市販で売られているノートには事前に日付・便名・機材・出発時刻・到着時刻など、フライトの情報が書き込めるようになっています。一般に売られているノートに、ご自身で上記の項目を書き込み、オリジナルのログブックを作っているお客様もいらっしゃいます。必ずしも専用品を買う必要はないと思います。

 ログブックを記入させて頂く際、私はよく他のページにも目を通すのですが、ページ毎に個性が出ていて面白いです。同じ会社でも、その日のCAによってスタイルが異なり、そのCAの“味”が出ています。そして絵のうまさやデザインセンスに脱帽します! また、貼られている市販のシールやその航空会社で作られたシールの可愛さにも注目です。私も自分のログブックを作りたいくらいです♪

9. 特別な日であることを伝える

 ご自身やご一緒にご搭乗されているご家族、ご友人のお誕生日、記念日、新婚旅行など、特別な日にご旅行される方がいらっしゃると思います。そんな時はCAに伝えてみてはいかがでしょうか。どの航空会社も、クルーはお客様の特別な日がさらに良い日になるよう、願っています。

10. やっぱり便利 快眠グッズを携行する

▼耳栓

 エンジン音、周囲の方の話し声、赤ちゃんの泣き声など、機内には多くの騒音があります。安眠のためにも携行をおすすめいたします。

▼アイマスク

 夜間のフライトでもサービス中は機内を明るくします。また、残り数時間フライトが残っていても朝になり日差しで起こされてしまうこともあります。

▼ネックピロー

 座りながらお休みになるために必要ですし、横になってお休みになられる座席を確保できた場合は、枕代わりになります。

▼スリッパ

 機内では長時間座っている体勢に加え気圧も関係し足がむくみます。ホテルでもらえる簡易的なスリッパを機内でも活用しましょう。

◆◇◆

 「LCC」と言いつつ、フルサービスキャリアにも共通することも多くなってしまいました…。座席の移動や目的地での移動など、「忙しい中、CAにこんなこと聞いたら迷惑では…」と遠慮しているお客様もいらっしゃると思いますが、状況によっては対応可能なこともございますので、遠慮せずリクエストしてみてくださいね♪

日系航空会社で5年間乗務後に外資系航空会社に転職し、現在乗務3目。マレーシア在住。

【CAのここだけの話♪】はエアソルに登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。【CAのここだけの話♪】アーカイブへ