【元受付嬢CEOの視線】今すぐ実践できるプレゼン術 プレゼンとは縁がなかった私が上級者になれたワケ
これまでも触れてきましたが、私はもともと受付嬢でした。受付嬢時代、プレゼンテーション(プレゼン)をした経験は一度もありませんでした。「日本人は自己主張が苦手」といわれますが、私もそんな典型的な日本人のひとりだったと思います。受付という職業は自分を主張するよりむしろ黒子的な役割を担うポジションだったことも自分の考えを述べる必要性がなかった理由かもしれません。
そもそもプレゼンと向き合う機会がなかったので、自分が得意か苦手かを考えることもありませんでした。小学生や中学生の時に児童会や生徒会などで大人数の前で話すことがあったので、どちらかというと得意かな…なんて思っていましたが、起業してから自分のプレゼンスキルの低さを痛感しました。
そんな私が今では比較的、プレゼンが得意になってきています。今回は、プレゼン素人だった私が自分自身で「得意」と言えるようになった経緯や理由、そしてスキルアップのコツをお話しします。
そもそも良いプレゼンとは?
良いプレゼンとは? この質問に答えられる人は意外と少ないと思います。というのも、プレゼンの目的はその時々によって変わるからです。プレゼンのシチュエーションの例をいくつか挙げてみますね。
<プレゼンのシチュエーション例>
・ピッチ大会などで投資家に自分の考えを伝える
・競合とのコンペで、クライアントに自社のサービス導入の意思決定を仰ぐ
・会社の代表が社員に自分の考えを伝える
・選挙などのように立候補者が有権者の共感を仰ぐ
「ピッチ」とは、主にスタートアップ企業やベンチャー企業が自社事業を投資家に売り込む短いプレゼンテーションです。わずか3~5分で出資を募るために自社の魅力や将来性をアピールします。ベンチャーキャピタルなどが主催するイベントとして、複数の企業が登壇してプレゼンを競い順位を決める「ピッチコンテスト(大会)」もあります。
シチュエーションそれぞれにフォーカスしてみると、まったく違う場面のように感じるかと思います。しかし1点だけ共通していることがあります。それは「相手の感情を動かすこと」です。そうなのです。良いプレゼンというのは、自分が動かしたい方向に相手の感情を動かせるプレゼンです。
これを把握しておくだけで、「どんな内容を話せばいいのかもわからない」という状況は避けられると思います。「相手の感情を動かすには?」と考えると話す内容が組み立てやすくなります。
私の場合、ピッチ大会に出ることが多かったのですが、その時は優勝することよりも聴衆にサービスを知ってもらい使ってみたいと思ってもらうことが最大の目的でした。審査員の受けを狙うプレゼンとリード(見込み客)獲得が目的では話す内容も変わってきます。リード獲得にフォーカスする場合は、大きなビジョンなどを語るよりも機能面など実用的なデモを含めた内容にするなどの工夫ができると思います。
実はシンプル 自分をプレゼン上級者に見せる方法
私はこれまで3人の先生にプレゼンの指導をしていただきました。その中で非常にわかりやすく、私も実践している技があります。
それは、「文章を短くすること」です。なんだー! そんなことか、という声が聞こえてきそうですが、ご自身のプレゼンを録音し聴いてみてください。必ずといっていいほど、文章が長くなっており、「あのー」とか「えー」などといった接続詞を多用しているはずです。プレゼンで相手の感情を動かすには、話していることを理解してもらう必要があります。しかし、文章が長くなると人の頭には冒頭部分しか入って来ず、そのあとの内容は印象に残らないのです。プレゼンには意欲的な聴衆が集まるものと、そうでないものがあります。
特に後者の場合、まず相手に私の話に耳を傾けてもらう必要があります。そこであまりにも長い文章でタラタラと伝えてしまうと、聞く側も萎えてしまうのです。「自分はこういう者で、今日はこんな機能がある◯◯にリリースした、◯◯なサービスを紹介したいと思っており、ユーザーは◯◯人くらいいて…」と話すのはNGです。
「私はこういうものです」「今日はこのサービスをご紹介します」「リリースしたのはいつです」「◯◯ユーザーが使っています」
このように文章化してみても、非常に読みやすくなると思いませんか。実は相手に伝わるプレゼンをするのに、小難しいテクニックは必要ないのです。
プレゼンは登壇前から始まっている!? 大人数の前で気をつけること
プレゼンの最中の立ち振る舞いに気を使うことは誰でも考えると思います。大勢の聴衆の視線を浴び、彼らの感情を動かすとなるとそう簡単なことではないです。話し方もそうですが、それ以外にも聴衆を味方につけるポイントがあります。
それはプレゼンが始まる前の立ち振る舞いに気を配ることです。直前にあたふたしている・落ち着きがない人の話ってなんとなくこちらも不安になりませんか。ステージの時だけ見られていると思いがちですが、プレゼンの場合、その前後も人目につきやすいです。ステージの裾で準備をしている段階から落ち着き、いい姿勢でステージに上あがれる人はそれだけで聴衆を味方にできます。一貫して堂々としていると、「この人の話を聞いてみたい」「説得力がありそう」と自然と感じるものです。 とはいえ、大勢の人の前で話すのは緊張しますよね。私も緊張します(笑) しかし、この緊張を回避する方法があります。
「緊張というのは準備不足だから」。これは私が、資料の作り方からボイストレーニングにわたるまでプレゼンでお世話になった先生に教えてもらった言葉です。すごくシンプルな言葉でしたが、目からウロコでした。
「100回は練習してください。そうしたら緊張しなくなるから」。その言葉を信じ、100回練習しました。人生で初めて500人を前にプレゼンしたのですが、思ったほどの緊張はなく、むしろ楽しめました。100回練習すると「100回も練習したのだから!」と自分の中に拠り所ができたのです。
プレゼンは非日常的なイベントと考えがちですが、私たちの毎日はプレゼンの繰り返しです。
<毎日はプレゼンの繰り返し>
・お客様に自社の製品を紹介する
・採用面接で面接官に自分をアピールする
・親にゲームを買ってほしいとおねだりをする
「どうしてあなたにこうしてほしいのか」という説明はみなさんもよく行っていますよね。それもプレゼンのひとつです。相手が少人数か大人数かの違いだけなんです。
次回はプレゼンの際に必ず必要な資料づくりについてお話ししたいと思います。スピーチと資料づくり、どちらかが優れていてもダメなのがプレゼンです。話すのは得意だけど、資料づくりが苦手…という人も多いでしょう。良い資料はスピーカーを輝かせます! しかし、決して手の込んだ資料を作る必要はないのです。次回もお楽しみに!
【プロフィール】橋本真里子(はしもと・まりこ)
1981年生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。長年の受付業務経験を生かしながら、受付の効率化を目指し、16年にディライテッドを設立。17年に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。
【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週木曜日。
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