サラリーマンも「凡人起業」できる! スマホ・IT時代こそチャンス

 

 SankeiBizで好評連載中の「ビジネスパーソン大航海時代」の執筆者でエンジェル投資家の小原聖誉さん(StartPoint代表取締役CEO)が書き下ろした新刊『凡人起業』(CCメディアハウス刊)が各方面で反響を呼んでいる。

 小原さんが著書に込めた思いや訴えたかったことは何か。本書を読み進めれば、サラリーマンだからこそ、「凡人」だからこそ起業につながるヒントに気づくはずだ。(ライター 高関進)

 凡人だからこそ起業できる!?

 ・課題や提出物は締め切り近くになってからやり始める

 ・三日坊主

 ・誘惑に弱い(健康に悪いと思いつつ飲み会後はシメのラーメン)

 ・報告会や会議でアドリブできない

 ・偉い人と話すと緊張する

 ・グループワークが苦手(頭のよさを競争する感じがいや)

 ・相手に「いい質問」ができない

 ・メディアなどで起業家を見て「天才だな」と感心する

 ・過度ではないものの心配性でリスクが気になる

 以上は書籍『凡人起業』であげられている「凡人」の特徴である。いくつか心当たりがあったあなたは、失礼ながら立派な「凡人」だ。そしてこのすべてが当てはまるという著者は、「凡人には凡人なりの起業の仕方、戦い方がある」ことに気づいた。

『凡人起業』より

 凡人とは「何もできない人」ではない。「普通のことを当たり前にコツコツできる人」のことでもある。「当たり前のことをコツコツやり続けられることこそ、起業では重要」と著者は語る。先にあげた凡人の特徴を、逆に“凡人なりの戦い方”に転嫁した著者はそれを実践して、35歳で起業した。

 お金がかからない業界で起業する

 著者はネット業界で起業したが、その理由は、大きな資金が不要だからである。

 たとえば、仕事の内容がイメージしやすいため脱サラして飲食業を始める人は多いが、廃業率も高い。飲食店を始めるには、最低でも立地条件と時間的制約、設備投資資金という3大ハードルがあり、プロでもかなり難しいのである。

 一方、ネットサービスのビジネスは素人でも始められる。お客に物理的に移動してもらう必要もなく、24時間365日営業でき、設備投資はほぼ不要。

 サービスを開始してから、コツコツ修正し続けられる真面目な人がやれば着実に伸びていくのが、ネットサービスの利点だ。

著者がネットサービスを選んだ理由は、「勝てなくても工夫次第で負けないようにできる」と考えたからなのだ。

『凡人起業』(小原聖誉著)

 「負けない場所」でまずは先行者になる

 モバイルアプリ会社を起業した著者自身は、モバイルアプリのマニアではないという。それでもその業界に参入したのは、「まずは好きなことを仕事にするより、負けないことをやるほうが失敗の可能性が低い」と考えたからだ。

 「凡人起業」で大切なことは、「いかに失敗しないか」だ。野球でいえば、ホームランを狙って大振りするのではなく、できるだけバットを短く持ち、ボール(チャンス)が来たら着実に当て、出塁を狙う。実績が出てきたら、好きなことをするために会社を大きくするのもいいし、あるいは売却して2社目を起業して好きなことをやるのもいい。

 そして、起業で大切なのは、たたき台を早くつくること。完璧なものをつくって遅れるより、8割でいいので「これでいける」というものを出して先行者になったほうがいい。

 ほとんどのサラリーマンは、たたき台ができるのを待っている。彼らは、たとえ次に流行するものがなんとなくわかっていても、行動を起こさない。「携帯電話にアプリが乗る」「スマホが流行る」と思った著者は、たたき台をつくり大企業に事業企画をプレゼンして起業し、成功を手中に収めた。

小原聖誉さん

 会社がなくても生きていける準備をしておく

 現在、会社に勤めている人は、「コツコツやれる」人たちといえる。これは本人にとっては明確な強みとは思えないかもしれないが、著者はコツコツできることは価値ある強みだと考えている。コツコツやれる人なのだから、“新しい市場”に向けてコツコツやればいいのだ。

 著者がコツコツやったこととは、スマホアプリの情報を収集してSNSで情報発信を続け、専門家・先行者になることだった。

 「どこかの領域のプロ、専門家」になっていれば、会社でのポジションや、会社そのものがなくなったとしても、潰しは十分に利く。フリーランスという選択もあるだろう。自分が情報発信をしている分野の企業からヘッドハントの話が来て、そちらに行くという可能性も出てくる。

 今や、副業を認める会社が少なくない時代だが、「副業ができる人」とはどういう人かを考えると、「強みをもっている人」だろう。勤めていても「会社に縛られなくても自分で生きていける強みをもとう」というマインドをもちながら、今の仕事で経験を積んでいけばそれがいずれ強みになる。

 「起業は自分がよりよく生きていくことをめざすためにするものだ」「人間関係に振り回されず、自分で意思決定する人生のほうがよいと思う人でコツコツできる人なら、起業は向いている」と著者は言う。

 スマホ・IT時代は失敗しない起業ができる!

 ここで、そんな著者が考える「凡人起業」のヒントをお教えしよう。それは、「スマホ×何か」を考えることだ。

 仮にあなたが携わっている仕事がITと直接関連がなくても、「自分の業態×スマホ」によって便利になるサービスは検討可能なのだ。

 ヒマつぶしのゲームやLINEでのコミュニケーションが普及したが、これからの時代はエンタメ以外の要素でスマホを使った業務の効率化を図る傾向になるだろう。

 「ITが密接に関わっていない、昔ながらの業界のほうが、これからのチャンスは大きい」と著者も指摘している。

あなたが今いる業界内でも、変化は必ず発生しているはずだ。その変化に対する、経験を活かした、自分なりのITサービスでの解決法をみつければ、それを軸に着実に起業することが可能だ。

『凡人起業』より

 本書にはスマホ・IT時代に起業するための具体的なヒントをいくつか掲載しているので、ぜひ読んでみてほしい。