「70歳まで雇用」企業に努力義務 政府方針、人件費増に反発も

 

 政府は、希望者が70歳まで働き続けられるよう高年齢者雇用安定法を改正し、高齢者の就業機会を広げる。15日の未来投資会議で、就業機会の確保を企業の努力義務とする方針を明らかにした。深刻な人手不足を受けて働き手を確保することが政府の狙いだが、人件費の増加を懸念する企業側の反発も予想される。経験豊富な高齢者にどんなポストを用意するか悩む企業も多く、実力を発揮できるような仕事をどう確保するかが課題だ。

 現行法は希望者全員を65歳まで雇用するよう企業に義務付けている。70歳までの就業機会を設ける政府案は、他社への再就職や起業支援なども認めているが、自社で雇用する企業が多いとみられ、人件費負担が増える。

 多くの企業は60歳定年を採用しており、定年後にこれまでより低い賃金で、継続雇用などで10年働くことになる。高齢者は意欲や能力の個人差が大きい。処遇の見直しに加え、これまでの知識や経験を生かせるポストの提供などが高齢者活用の鍵となる。

 来年4月から順次、正社員と非正規労働者の不合理な待遇格差を認めない「同一労働同一賃金」が始まり、定年後の継続雇用も対象となる。ただ厚生労働省のガイドラインでは、継続雇用について「さまざまな事情が総合的に考慮され、不合理かどうかが判断される」と明確な文言はない。どこまで高齢者の処遇の改善につながるかは未知数だ。

 政府案は、ライターやIT技術者など、企業に属さず個人で仕事を受ける「フリーランス」の働き方も推進する。働く時間を選べるなどのメリットの一方、勤務先と雇用契約を結ぶ通常の労働者とは違い、法令で権利が十分保護されていない問題がある。

 厚労省の試算では、フリーランスで働く人は約170万人と推定。高齢者の就業機会の拡大でさらに増加する可能性があり、保護策は喫緊の課題となる。