働き方

「独立役員」紹介します 脚光浴びるコーポレートガバナンスの要

SankeiBiz編集部

 経営における企業統治(コーポレートガバナンス)の重要性が増すなか、「独立役員」の存在が脚光を浴びている。株主と利益相反がない独立した社外取締役が経営へのチェック機能を果たすことで、企業のガバナンス力を高め、頻発する企業不祥事を防ぐとともに企業の成長を後押しすると期待されている。そんななか、独立役員の紹介を手掛ける人材サービス業者も現れ、注目されそうだ。(柿内公輔/SankeiBiz編集長)

安倍首相も独立役員の活躍に期待

 2015年に企業の不正防止と競争力強化を目的とした「コーポレートガバナンス・コード」が上場企業に適応されて以降、一般株主と利益相反の恐れのない社外取締役の導入が広がった。東京証券取引所の上場企業では大半が複数の社外取締役を選任している。

 さらに金融庁と東京証券取引所は2018年6月にコーポレートガバナンス・コードを改訂し、企業はこれまで以上に、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためのガバナンス強化が求められているのが現状だ。

 安倍晋三政権も成長戦略の一つとしてコーポレートガバナンス改革を掲げている。

 政府の未来投資会議は今年3月、上場している子会社の企業統治(コーポレートガバナンス)の強化策を議論した。ともすれば上場子会社は経営に親会社の意向が強く反映されがちで、少数株主が不利益を被るケースがあると懸念されているなか、首相は同会議で、親会社から独立した社外取締役の比率を高めるなど、上場子会社の企業統治の強化を促すよう指示。安倍首相は「上場子会社のガバナンスは手つかずとの批判があり、日本市場の信頼性が損なわれる恐れがある」と強調した。

 経済産業省は6月にも新たな指針を策定し、今夏に政府がまとめる成長戦略にも具体的な方策が盛り込まれる見通しだ。

「人脈頼り」では壁に直面も

 現在1部上場企業では91.3%が独立役員を2人以上設置しているが、独立役員の設置数以上に質が求められる時代を迎えているとの指摘が増えている。現に、株主総会での独立役員の選任に対する目は年々厳しくなり、企業との関係の透明性や取締役会への出席率、さらには経営についての理解など、質の高い独立役員でなければ、株主からの賛成を得ることは難しくなっている。

 しかし、企業の独立役員の採用はいまだに人脈経由が多く、株主の求める独立性や能力などの基準を満たす人材を人脈を頼りに探すのは難しいといった課題に直面する企業は少なくない。

 経産省は、「社外取締役候補者に関する情報を広く得るために、社外取締役の紹介を行う人材紹介会社や業界団体等を利用することも一つの選択肢として考えられる」とし、外部企業の活用を推奨している。

 そんななか、人材大手パーソルキャリアは今月、運営する経営顧問の紹介サービス「i-common(アイコモン)」の新事業として、「独立役員紹介サービス」の提供を始めると発表した。

パーソルの独自データベースを活用

 経営実務の経験豊富な「独立役員(社外取締役又は社外監査役)」の紹介を通じ、企業価値向上を支援するのが目的で、具体的には以下の3つの観点からサービスを展開していく。

  •  フィジビリティー-活動によるリスク軽減
  •  独自のデータベースにより独立性を担保
  •  企業価値向上を支援

 まず、正式就任前のフィジビリティー活動(就任前試用)を通じ、独立役員のスキルや企業との相性の確認を行うことで、ミスマッチのリスクを軽減させることを狙う。また、約2000人(2019年3月時点)の経営実務経験者の独自データベースにより、最適な人材を提案。出身業界、年齢、上場企業役員経験者や女性幹部をはじめとする属性など、幅広い選択肢の提供が可能だとしている。

 さらに、独立役員候補の実績やスキル、人脈を「可視化」し、就任後に活躍できる人材を紹介していくという。

 パーソルキャリアは「今後さらに独立役員の重要性が増す状況下において、従来の人脈を通じた選定手法には限界がある」と強調。今回導入した新サービスで、企業のニーズに合った独立役員の紹介を通じ、企業のコーポレートガバナンス強化と企業価値の向上を支援していく考えだ

 「i-common」事業責任者の鏑木陽二朗氏は、「i-commonではすでに次年度の独立役員選定に向けた相談を数多く受けていて、昨対比150%となっている。それほどに独立役員は注目されていると言えるだろう。独立役員紹介サービスの専属チームを設置し、各社の状況に合致する『経営の分かる独立役員候補者』の紹介を通じ、企業の経営を支援していく」とコメントしている。