ボーナスシーズンである。私も今週、振り込まれた。働いていてよかったと思う瞬間である。4年前にフリーランスから勤め人に戻ったのだが、そうか、組織に所属するとボーナスがもらえるのかと喜びを噛み締めたのだった。結局、住宅ローンなどに消えていくのだが。
これを機会に給与のことを考えてみよう。「私の年収、低すぎ」と自虐的にならずに、自分の所得がなぜ、どのように構成されているかをチェックしてみよう。
働き方改革ショック
まずは、今一度、自身の給与や賞与の明細を見つめてみよう。基本給、各種手当の額をそれぞれ確認する。ここ数年の給与明細を読み返してみるのも効果的だ。自分の給与がどのように構成されているかを見つめ直してみよう。
ここ数年、起こっているのは「働き方改革ショック」である。長時間労働の是正は国としても、企業としても、個人としても取り組むべきことであり、この4月からは法律による規制も強まった。一方、これにより残業手当も減る。
そもそも残業手当とは何なのか、労働者に対する報酬なのか、残業をさせたことに対する企業へのペナルティなのか、残業を促進するものなのか抑制させるものなのか、割増率は適切などかなどは、立ち止まって考えたい。ただ、これが生活給化していた場合、この割合が高い場合、生活は苦しくなる。
一部の企業では残業手当ならぬ、残業削減手当が支給されたり、残業の減った分に相当する額を賞与で補填する動きなどもあるが、今後も模索は続くだろう。
今一度、自社の給与がどう上がるか、そのキーとなる要素は何かも確認しておこう。昇進・昇格、評価、各種手当によりどれだけ上がるのか、下がるのかを改めて確かめておきたい。別に転職や副業などをしなくても、社内にいながらにして収入を上げることが可能かどうかを確認しておきたい。
気になる同業他社の給与
自分の給与が高いか低いかを客観視するためには、同業他社の同世代がどれくらいもらっているのかも確認したい。ビジネス雑誌などの給料特集は相場を手っ取り早く確認するのに便利である。この手の雑誌のこの特集は、学歴特集同様に「いやらしいな…」と思いつつも、気になるものである。業界別の相場や、各社の額がわかる。
東洋経済新報社の『会社四季報』シリーズも有益な情報源である。同社の約100名の記者が、独自の取材を行いまとめたものである。主要な株主構成や、業績に関する情報など、企業を分析する上でいちいち役立つ情報がまとまっているのだが、平均年収なども掲載されている。就活生用の『就職四季報』シリーズには、男女比や3年以内離職率なども掲載されている。学生だけのものにするには、もったいない内容だ。
求人広告も貴重な情報源だ。特に中途採用の求人サイトはどれくらいもらえるのかがわかりやすい。
もっとも、日本の給与は常に過渡期であり、わかりにくくなっているとも言える。成果主義的な考えか、年功的な要素を残すか、常に模索は続いている。個人の評価だけでなく、全社や事業部の業績が、賞与や給与に反映される。同じ企業でも、個人の業績はもちろん、部門や時期によって額が変わってしまう。
同じ企業の中でも、必ずしも整合性がとれないような賃金体系になっていることもある。中途採用で、高い能力を持つ人のための特別待遇はもちろん、最近ではエンジニアなどに対し、新卒でも高い給与を設定する企業が現れ始めた。先日もSONYがAIなどの専門家に対しては新卒でも年収700万円以上を支払う方針を打ち出し、話題となったが、IT系のメガベンチャーでは既に行われていることである。
「エア転職」のすすめ
自分の給与に納得がいかない人に対して、私は「エア転職」をすすめる。今すぐ転職するつもりはないにしても、各種求人サイトや、人材紹介会社に登録し、可能であれば面談も行い、自分が今、転職するといくらくらい貰えるものなのかを確認してみよう。意外に今の環境は悪くないことに気づくかもしれない。
日本の給与、さらには評価の方法は常に模索中だ。気づけば決して給与が高い国では既になくなっているのだが、一部の企業では前述したように給与のあり方を見直す動きもある。今後も模索は続くのだろう。そして、今の給与のあり方も、労使の交渉や、様々な模索の結果であるということも確認しておきたい。
給与は単純に高い、低いだけでなく、納得感が必要だ。労働条件、評価も含め、今の給与に納得感があるのか、どんな働き方をして、いくら稼ぎたいのか。胸に手を当てて考えてみよう。
【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら