東京商工リサーチ特別レポート

中国系企業が抱える親会社破綻リスク 米中貿易摩擦で懸念増す

東京商工リサーチ

 中国系企業やファンドによる日本企業の買収が増え、株主が中国系になった企業は多い。ところが、中国経済の冷え込みや米中貿易摩擦の余波で親会社が失速し、日本企業が影響を受ける事例が目立ってきた。燻(くすぶ)り続ける多様なリスクが、思わぬかたちで日本企業を巻き込む可能性が今後も高まっている。

連鎖破綻したシノハラジャパン

 産業機械製造のシノハラジャパン(静岡県島田市)は、中国のスポンサー企業の破綻で連鎖的に行き詰まり、6月11日に破産開始決定を受けた。

 同社は2011年1月に東京地裁に民事再生法の適用を申請した印刷機械製造のシノハラ(静岡市葵区、負債総額96億円)の第二会社。民事再生手続きで中国資本の企業が事業を継承し、新会社として設立された。従業員も引き継いで事業を継続し、レーザダイカット機の開発・製造販売など事業を拡大していたが、親会社の中国企業が破産し連鎖倒産した。

 自動車部品などを生産する国内の老舗メーカーA社も、数年前に傘下入りした中国の企業グループの再生手続き入りで対応に追われている。

 日本の民事再生法と同等とされる「破産重整申請」を提出したのは中国浙江省を拠点とする銀億集団有限公司(寧波市)と寧波銀億控股有限公司(同市)の2社。6月14日に寧波市中級裁判所に申請した。銀億グループは中国国内で不動産業を手がけるほか、海外の自動車部品メーカーを傘下に収めていた。

銀億グループのA社にも波紋広がる

 だが、中国不動産市場の低迷と、米中間の貿易摩擦を発端とした車載製品ビジネスの業況が悪化し、債務返済が困難になった。

 A社は、自動車向けスイッチ部品の国内専業メーカー。アジアなど海外にも現地法人を展開し、2018年12月期の売上高は約67億円をあげていた。2016年に会社分割を実施し、新設された当社や海外現地法人を銀億グループが買収し、傘下に収めた。

 現在、社長と監査役以外の役員には、銀億グループ幹部が非常勤取締役として名を連ねている。だが、今回の事態にA社には金融機関や取引先などから問い合わせが相次ぎ、担当者は独自に事実関係を情報収集し、取引先などに説明したという。

 A社の買収には銀億グループのほか、中国の銀行系ファンドなど他の資本も関わり、再生手続きを申請した2社の直接的な支配を受けているわけではない。「商取引もわずかで運転資金も国内の金融機関から調達し、直接的な影響はない」と話す。

中堅以下の企業にも触手伸びる

 中国による「爆買い」対象は日本製品や不動産にとどまらず、その矛先は日本の「企業」まで及んでいる。マスコミを賑わせるのは国内大手メーカーや事業部門の売却など、大型M&Aが中心だ。だが、中堅以下の規模にも静かに中国資本の触手は伸びている。

 日本国内に資金の出し手がないため、不振企業の「駆け込み寺」になっている。という事情も見え隠れするが、日本企業の技術力や営業基盤、何より「日本ブランド」に魅力を感じ、豊富な資金力を背景に中国企業の「日本買い」が席巻している。

 父娘の対立が表面化し、業績悪化が続く大塚家具(東京都江東区)も、中国企業が事実上のスポンサーとなった。今後は巨大な中国市場への進出を足がかりに業績回復を目指す。

 もはや取引関係だけにとどまらず、密接な繋がりを持つ日本企業と中国経済。何といっても注目を集めるのは米中貿易摩擦の行方だ。燻(くすぶ)り続ける多様なリスクが、思わぬかたちで日本企業を巻き込む可能性が今後も高まっている。

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