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何でも楕円形…聖地・花園、胃袋つかめ ラグビーW杯、地元は「宴」の準備

 9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。関西では、ラグビーの聖地として知られる東大阪市花園ラグビー場(大阪府東大阪市)と神戸市御崎公園球技場(神戸市兵庫区)が会場だ。地元は国内外から訪れる多くの来場者を見込み、街おこしにも力を入れる。楕円形のボールに熱狂する「宴」を迎える地元の取り組みを紹介する。(勝田康三)

ラグビーワールドカップの地元開催をPRするのぼり=大阪府東大阪市の近鉄河内花園駅前
大阪府東大阪市では、ラグビーにちなんだ数々の食品が販売されている。聖地・花園の来場者に、なんとしてもまちを訪ねてもらおうと、官民あげて知恵を絞る
昭和レトロな雰囲気が人気の和横丁。ラグビー談議に花を咲かせるファンらが訪れる=大阪府東大阪市
花園ラグビー場付近の地図。近鉄河内花園駅近くに商店街がある

 日本初のラグビー専用競技場として昭和4年に開場した花園ラグビー場は、高校ラグビーの「聖地」と呼ばれるラガーメンあこがれの地。全国高校ラグビー大会だけでなく、大学や社会人、日本代表の試合も多く行われる。

 最寄り駅は近鉄東花園駅だが、かつては試合開催時のみ停車する臨時駅だった。にぎわいの中心だったのは、1駅西の河内花園駅。今でも周辺には、試合後にファンらが集う飲食店がある。

 中でも有名なのが「花園ラグビー酒場」。駅からラグビー場に向かう通りにある花園商店街に店を構える。地元チーム「近鉄ライナーズ」の選手らも利用するというから、感想戦に花を咲かせるファンらにはたまらない。

 昭和レトロな大阪の下町

 隣には、間口1メートルもないほどの狭い路地がある。「和(なごみ)横丁」だ。長屋を改装した店先に赤ちょうちんがぶら下がり、昭和レトロな雰囲気を漂わす飲食店がひしめく。よく訪れるという東大阪市職員も「料理は安くてうまい上に、ラグビー談議に花が咲く」と話す。

 こうした魅力を発信し、W杯観戦後のファンらをいかに回遊させるかに、商店街は知恵を絞る。鍵を握るのが、会員制交流サイト(SNS)による拡散だ。

 和横丁近くで居酒屋「ビッグサム」を営む近藤雅之さん(36)は、花園界隈の魅力を時代的には「昭和」、地域的には「大阪の下町」とアピール。「人間性も心安い商店主ばかり。SNSを駆使して、なんとか活性化につなげたい」と意気込む。

 商店主向けに英会話教室

 河内花園駅の南側にある花園本町商店街でも、来場者らの受け入れへ準備を進めている。会長の白山登茂和さん(41)は、会員の商店主らを対象にした英会話教室を開き、おもてなしのトレーニングに励んでいる。

 英語が堪能な会員が月1回のペースで指導。白山さんは「道案内やちょっとした日常会話など、最低限の内容ですが英会話です」と照れるが、英語表記のメニュー表や土産品表も作成し、各店舗に配布した。

 商店街には約40店舗が加盟するが、店主の高齢化や後継者不足でシャッターを下ろした店舗も目立つ。そんな状況だからこそ、白山さんはW杯の開催を商店街活性化の起爆剤にしたいと考えている。

 試合は日中に行われる予定で、各飲食店は通常夕方からの開店を試合終了に合わせて前倒しする方向で検討中。当日は、河内花園駅や東花園駅から花園ラグビー場に向かう来場者に、店舗紹介やクーポンなどをセットにした地図の配布も計画する。打てる手は何でも打ち、なんとしても来店につなげたいという考えだ。

 ラグビーづくしの弁当、饅頭、サブレ…

 行政も積極的に街おこしに取り組む。東大阪市は「ラグビーのまち」をアピールしようと、冊子「東大阪ショウテンズ」を1万5千部作成。ラグビーをモチーフにした食品販売を手がける15店を、ラグビーの出場選手15人に見立てて紹介している。W杯開幕までに、市内のホテルなどに置いてもらう考えだ。

 掲載されている商品のうち、ラグビー場近くの和菓子店「菓心庵絹屋」の「花ラグ饅頭」と「花ラグサブレ」は、ラグビーボールの形をした菓子。全国のラグビー選手やファンの土産品として知名度が高い。「和公」の「ラグビー弁当(トライ)」は楕円形の容器にラグビーボール形のとんかつがドンと乗ったボリュームたっぷりの弁当。全国高校ラグビー大会の期間中には、毎年買いに来るファンがいるという人気商品だ。

 市はほかにも、W杯をPRするのぼりを近鉄沿線の各駅前に掲示したり、ステッカーなどをイベント参加者に配ったりしている。

 東大阪商工会議所も市内の中小企業が作ったラグビー関連商品をPRするパンフレットを作成。売り上げ増につなげるとともに、W杯の機運も盛り上げる。