CAのここだけの話

“裏技”で空港ラウンジ利用 カードや搭乗ランクに関わらずVIPに寛ぐ方法

笹川沙楓

 SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第62回は中東系航空会社勤務2年目の笹川沙楓がお送りいたします。

中東系航空会社に勤務する笹川沙楓さん(中央)。南アフリカ出身・インド出身の同僚と観光を満喫。提供:執筆者
スペイン・バルセロナ。シーフードパエリアが定番ですがチキンパエリアも絶品! 提供:執筆者
スペイン・マドリード。地元の人々にも愛されるレストラン「La Giralda」 提供:執筆者
アメリカのマイアミビーチ。暑い気候のもとで食べるアメリカンサイズのジェラートは最高 提供:執筆者
お気に入りのフランクフルト。ソーセージにかかっているスパイシーなソースがまたドイツビールと相性バツグンです 提供:執筆者
スイスのチューリッヒ。チーズフォンデュの店「Swiss Chuchi」は店外にもチーズの香り漂い、食欲をそそられます 提供:執筆者
中国・上海ではカエル鍋に挑戦。少し勇気がいるかもしれませんが鶏肉に近い食感と味で意外といけます 提供:執筆者
冬の中国。氷点下10度の万里の長城 提供:執筆者
イタリアの水の都ベネチア。アイスはイタリアンジェラートが一番好きで、イタリアに飛んだ時はピスタチオとイチゴしか食べません 提供:執筆者
「日本人の1%しか訪れない国」ともいわれるアルバニア。定番朝食のNaniは中に2種類のチーズとハムが挟まってあり、腹持ちがいいです 提供:執筆者

 旅行って計画している時からワクワクしますよね♪ 特に海外旅行だと、どこに行こうかな、何を食べようかな、お土産は何を買おうかな、とどんどん楽しみが膨らみます。

 計画は旅先でのことに集中しがちですが、飛行機に乗るまでの時間やトランジット(乗り換え)が快適で楽しいものであればもっと素敵な旅になるはずです! そこで今回は、目的地までの賢い過ごし方・楽しみ方をご紹介いたします。

あの時間が実は見落としポイント

 チェックイン後に搭乗までかなり時間がある、トランジットのために空港で長時間待たないといけない、そういう経験はありませんか?

 例えば、チェックインを済ませてから搭乗までの2時間。2つのフライトの間の5時間。重い手荷物や免税品を両手に持ち空港内をさまよったり、長い時間、レストランやカフェで時間を潰すのは大変です。トランジットの際は一旦空港の外に出て観光する手もありますが…。

 そんな時、私がいつも利用するのが空港ラウンジです。ラウンジは主にカードラウンジと航空会社ラウンジの2種類に分けられます。まず、それぞれどんな条件で使用できるかを整理してみます。

カードラウンジ 素敵な景色も楽しめる

 クレジットカード会社が提供するラウンジは、visaやmastercardなどのゴールドカードやプラチナカードを持っている方が利用できます。同行者も無料で入れます。ただし、日本国内のみで海外にはないのでご注意くださいね。

 また、カード会社によりますが、該当するクレジットカードを持っていなくても1000円ほど払えば利用することも可能です。このようなラウンジでは飲み物や素敵な景色が楽しめたり、wi-fiを利用することできます。

航空会社のラウンジ 搭乗までゆっくり

 航空会社が提供するラウンジは原則として、ビジネスクラスやファーストクラスに搭乗される方、またそのアライアンス(提携航空会社)会員が利用できます。

 保安検査場を通過した先に設置されていて、搭乗直前までゆっくりできるのもメリットです。外資系航空会社のラウンジはVIPな軽食や設備が整っていますので、ちょっとした憧れでもありますね。

本当は教えたくない… ラウンジ利用の“裏技”

 ざっくりご説明しましたが、カードラウンジはカードの有無やカードのランク、航空会社のラウンジは利用する航空会社や搭乗ランクなどによって使用の可否が分かれてしまいます。

 そこで私は、そうした条件に関わらず空港ラウンジを利用できる“裏技”を利用しています。それは「プラオリティパス」です。プライオリティパスはイギリスのラウンジサービス会社が提供するパスで、2019年9月現在、世界1300カ所以上の空港ラウンジを使用できるサービスです。

 パスには主に3種類のランクがあります。

  • (1)年会費99USドル。ラウンジ利用ごとに32USドル
  • (2)年会費299USドル。年10回まで無料、11回以降は利用ごとに32USドル
  • (3)年会費429USドル。無制限で無料

 私は休暇があるとすぐに弾丸旅行に行ったり、日本に帰国したりするので、いくら利用しても無料の年会費429USドルのパスを保持しています。2019年9月現在、羽田空港では使用できませんが関西空港では使用可能です。

プライオリティパスで「ラウンジ天国」

 プライオリティパスが提供する海外の空港ラウンジをいくつかご紹介します。

 ドイツ・フランクフルトのラウンジは、他の空港と違い、保安検査所前にあるので余裕をもって利用することをおすすめします。それでも、ドイツらしい美味しいビールとソーセージが用意され、席も全てソファなのでゆっくり寛げます。最近訪れたイタリア・ローマのラウンジには個室のシャワールームが設けられ、最大6時間まで滞在可能です。

 そして、私がもっともおすすめしたいのはタイ・バンコクです。バンコクは世界で一番観光客が多いところで有名ですが、プライオリティパスで利用できるラウンジの数や種類が充実しているのです。私はバンコクの空港を「ラウンジ天国」と名づけています。

 バンコクでは例えば、プライオリティパスでオマーン航空のビジネス・ファーストクラスラウンジを利用できます。アルコール類、軽食そして、なんとも嬉しいことにシャワーまで利用できるんです。またKLMエールフランスのラウンジでは空港の景色を一望できます。

 残念ながら、仮眠を取れるラウンジはほとんどはないのですが、少しでも待ち時間を有効活用できるのではないかと思います。

機内に持ち込みたい あったかグッズ

 機内でも快適に過ごせるよう少しだけ工夫しましょう。搭乗の際に私がいつも持参しているものをご紹介します。

 機内には暖かいジャケットを一着持ち込むといいですよ。乗務中によくお客様から「寒いので温度をあげてください」と言われますが、機内の温度が高いと暑さで倒れてしまうため、あえて常に涼しい状態にしているんです。上着を着ても寒い場合はCAに頼んでペットボトルにお湯を入れてもらい、湯たんぽを作ってもらうといいですよ♪ ぐっすり休みたい方にはホットアイマスクもおすすめです。

地元の友人のおすすめ お役立ちグッズ

 少し飛行機酔いしてしまった、目を覚ましたいけど目が開かない…というときのために、タイなどで購入できるミントの香りスティックを携帯しています。タイ人のクルーに長いフライトの時や強い揺れが長く続いた時に勧めてくれたものです。

 また、機内の乾燥で喉が痛くなったときにはスリランカやインドで購入できるサマハン茶(samahan tea)を愛飲しています。さまざまな香辛料が入っており喉の痛みを和らげてくれる上、体がポカポカします。生姜の味が強く比較的飲みやすいです。スリランカの友人に教えてもらい、スリランカに飛ぶ時には必ずそのティーバッグを大人買いしています。

試行錯誤でわかった 飛行機酔い克服法

 お恥ずかしい話ですが、私はCAになる前、酔い止めがないと飛行機に乗れませんでした。CAになってから自分なりに思考錯誤した結果、しっかり食べ、こまめに水分補給することが大事だと分かりました。フライト前に軽食をとり、フライト中は無理せず食べられそうな機内食を食べて、おやつにドライフルーツなどを持参するのもおすすめです!

 いかがでしたでしょうか? 目的地までの時間でさえも快適に過ごすことで旅行がより楽しいものになります。ラウンジもぜひ活用してみてくださいね。

 機内でみなさまにお会いできることを楽しみにしています。Safe flight!

北陸地方出身。中学時に中国、高校時にニュージーランド、大学時にカナダで過ごす。叔父が元パイロットと聞き航空会社に興味を持ち、CAを目指し始める。大学卒業前に中東系航空会社CAとして勤務。入社2年目で現在約50カ国以上飛び周る。SNSで美味しい食べ物や日常を発信。

【CAのここだけの話♪】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら