高論卓説

ドラレコで高速道の危険運転撲滅 違法行為の映像提供、抑制効果大

 今年3月末の日本の自動車保有台数は8178万台で、世界第3位の自動車大国である。日本初の高速道路として名神高速道路が全線開通したのが1965年で、その4年後の69年に東名高速道路が全線開通している。2015年には新東名の御殿場-豊田東が開通し、東名が二重化された。おかげで渋滞も緩和され、大規模災害時の輸送路としても期待されている。また新東名は設計速度が120キロの道路でもあり、道幅も広く走行しやすい。今年はその東名開通50周年の年でもある。(旭リサーチセンター、遼寧中旭智業研究員・森山博之)

 新東名の新静岡-森掛川の上下約50キロ間では普通車の最高速度を引き上げる実験も行われている。既に制限速度110キロの試行が1年間行われたが、今年3月からは120キロに引き上げた試行を実施中だ。本来の道路の持つ機能をフルに発揮できるよう、行政も柔軟に対応しているのは評価できる。

 ただ、気になるのが大型車両の制限速度が80キロのままであるという点だ。自家用車などが120キロで走行するところに80キロの車両が混在している。周知の通り大型トラックには、安全のために90キロ以上の速度が出ないようスピードリミッターの装着が義務付けられているため、制限速度をこれ以上上げることができないのである。

 120キロ区間を実際に走行してみて感じるのが、トラックが自家用車との40キロの速度差を考慮して走行していない点だ。トラックが追い越し車線に車線変更してきて、なかなか追い越せずにかなりの間並走しながら追い越すのが目につく。また追い越しのために突然進路変更してくるトラックも多い。指示機を点滅させると同時に、目の前に割り込んでくるため、速度差がある分追突などの危険度も増す。

 これら以外にも追い越し車線を猛スピードで追い抜いていくトラックも見かける。トラックは90キロ以上出ないはずで、こちらはリミッターを外した「不正改造」車の可能性が高い。こう考えると120キロ区間でトラックが追い越し車線を走行すること自体に問題がありそうだ。トラックが絡む事故は重大事故になりかねないので、自家用車以上に安全運転を促すような仕組みが必要だろう。

 違法なリミッターの改造に関しては、国土交通省や全日本トラック協会が情報提供を受け付けているが、摘発されたというニュースはほとんど聞かない。8月に茨城県の常磐道で男性があおり運転を受けた後に殴られて負傷した事件や、9月の愛知県の東名でのあおり行為の上、エアガンを発射した事件では、いずれもドライブレコーダーの映像が決め手となり犯人逮捕に結び付いている。

 高速道路に関してはETC(自動料金収受システム)による走行記録が残る上に、トラックなどは事業所名などが車体に記載されており、特定しやすいはずだ。既にネット上には、悪質行為や危険運転などの映像情報を投稿する民間のサイトも存在するようだが、アクセス数を稼ぐためにエンターテインメント性を持たせた部分も見受けられ、情報は玉石混交となっている。

 公的機関で、装着車両の増えているドラレコを活用し、違法行為の情報提供を映像で受け付ける仕組みを設けてはどうだろう。まずは新東名の120キロ試行区間でトラックを対象に情報提供を募ってみて、摘発などに効果があれば、全ての車両、高速道路全体という具合に対象範囲を広げていけばいい。常に見られているという意識を持つことで、安全運転を心がけるドライバーが増えるのではないか。

【プロフィル】森山博之

 もりやま・ひろゆき 旭リサーチセンター、遼寧中旭智業研究員。早大卒後、旭化成工業(現旭化成)入社。広報室、北京事務所長などを経て2014年から現職。大阪府出身。