【CAのここだけの話】「常識」は捨てる 客室乗務でつかんだ外国人上司とうまく働くコツ
SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第64回はアジア系航空会社勤務乗務2年目の山崎愛音がお送りいたします。
近年、日本では外国人労働者が増えており、職場で外国人を見かけることも多くなりました。皆さんの周りにも外国人の同僚・上司がいて、接し方に悩むということもあるのではないでしょうか。今回は私がタイ人の同僚・上司と仕事をする中で身につけた、外国人の上司と上手く働くちょっとしたコツについてお伝えします。
日本の「常識」を捨てる
まず外国人の上司と接する際に大切になってくることは「日本の常識を一度取り払う」ということです。日本での常識をもとに仕事をしようとすると、驚くようなことばかりで面をくらうことがあります。
例えば、よく言われる「時間の捉え方の違い」では、日本人にとって約束の時間の5分前に来ることはマナー、または当然とされていますが、タイ人にとっては約束の時間の15分後~30分後に来ることが普通です。客室乗務員の訓練で、インストラクターが授業開始時刻の30分後に来て、何食わぬ顔で授業を始める、なんてこともありました。
私はタイのバンコクに住み、タイ人に囲まれて仕事をし、東南アジア諸国を旅行していく中で、日本文化・慣習が独特であることを身に染みて感じました。陸で繋がっている国々は行き来がしやすいため、文化が似てくる部分が多々ありますが、日本は島国であり他の国へ行くハードルが比較的高いため、日本の独自性が際立ったのだと思います。
日本に住んでいるとどうしても、日本の常識を基準に行動してしまいがちですが、「日本が特殊」と考えましょう。そして一度、私たち日本人の「常識」を取り払い、外国人の上司と接してはどいかがでしょうか。
上手く仕事を進めていく上で、お互いに文化を押し付けるのではなく、受け入れられるところは受け入れ、主張するべきところはしっかりと主張する姿勢が大切になってくると思います。
「ありがとう」をその国の言葉で
例えば、皆さんの部下に2人の外国人がいるとします。1人は完璧な英語で「Thank you」という人、もうひとりは拙いながらも日本語で「ありがとう」と伝えてくる人。さて、どちらに親近感がわくでしょうか? 言わずもがな、後者の部下ではないでしょうか。日本人は他言語に対して苦手意識が強い人が多い傾向があると思います。職場でも、日本人は間違っていたらどうしよう? という羞恥の気持ちが強く、黙っていることが多い反面、タイ人は文法が間違っていようが発音が間違っていようがお構いなく、本当によく喋ります。また、タイ人の同僚は私が拙いながらもタイ語を話すととても喜んでくれます。発音が間違っていると、根気強く直そうとしてくれたり、新しい単語を教えてくれたりと、とても面倒見が良いのです。
さらにタイでは日本以上に挨拶が重要視されています。上司や同僚とすれ違った時は必ず一度足をとめて、タイの伝統的挨拶「ワイ(胸の前で手のひらを合わせる)」をします。タイ人の上司との関係は、まずは挨拶が全て! と言っても過言ではありません。
ぜひ一度、相手の国の言葉で上司に挨拶をしてみてください。こんにちは、ありがとう、といった簡単な言葉でいいのです。挨拶をきっかけに、上司との距離がぐっと縮まるかもしれません。
雑談で相手への興味をアピール
日本の職場ではプライベートな話や雑談を大っぴらにする習慣はないですよね。また雑談と言っても、仕事の延長での雑談だったりすることが多く、実は上司自身についてほとんど知らないということも多いのではないでしょうか。タイ人の上司はプライベートな話、また日本人にとってはいわゆるタブーな話題(年齢、恋人、お金の話など)もオープンに話します。
驚いたことに「私は鼻を整形したのよ。あなたの鼻も整形?」と聞かれたこともあるぐらいです。整形前の写真を見せてくれたり、感想を求められたりもします。整形大国ならではですね。
人間は共通点があると親近感を持つものです。これは世界共通ではないでしょうか。もちろん自分が話したくないプライベートを無理に話す必要はありません。趣味、家族、美味しい食べ物、相手国の文化の話など、仕事から一歩外に出た話をしてみてはいかがでしょうか。
「笑顔」をちゃんとつくる
タイ人の同僚・上司と働いて思うこと、それは「facial expression(表情)が非常に豊か!」ということです。「微笑みの国、タイ」といわれるようにタイには笑顔が素敵な人が多いです。例えば、飛行機が目的地に到着してお客様をお見送りするときに、タイ人と日本人の違いがはっきりと分かります。タイ人のお客様は必ず私の目を見て、そこに言葉があってもなくても「笑顔」で挨拶をしてくれます。逆に日本人のお客様は、「ありがとう」と挨拶をしてくださってもこちらを見てくれない、または無表情のまま通り過ぎていかれる方がほとんどです。
私たち客室乗務員は、飛行機に乗る前にオフィスでミーティングを行います。そのミーティングでメンバーと初めて顔を合わせることになるのですが、この場で無表情でいるのはマナー違反です。上司いわく、無表情や暗い表情の人をみると拒絶されているようで、心配になるとのことです。
もちろんいつも笑っていろということではありません。外国人の同僚にも、無表情の時や逆に機嫌が悪いのかな? と思うくらい険しい表情をしている時があります。しかし、挨拶や相手に何かをして頂いた時はしっかり「笑顔」を作ります。ぜひ、皆さんも外国人上司と会話をするときは表情に気をつけてみてください。日本人の微笑む程度だと笑顔ではありません。しっかりにっこりと、笑ってみてくださいね。
当たり前? 「ホウ・レン・ソウ」は言葉でしっかり
当たり前と思われがちな「報告、連絡、相談(ホウ・レン・ソウ)」。でも実は出来ていない人も多いのではないでしょうか。この「報・連・相」は日本人同士で働く場合も勿論大切になってきますが、外国人上司との間ではさらに重要度が増します。日本では「空気を読む」という言葉がある通り、言葉を発さなくともその場の雰囲気を読み行動することが良いという風習があります。
しかしこの風習は外国人上司には通用しません。特に母国語でない言語を互いに話す場合、または片方が母国語ではない言語を話す場合は、言葉で伝えないと誤解が生じる可能性があります。ボディーランゲージで会話をすることもできますが、国によってはボディーランゲージが独特(例えば、インドでは頭を左右に揺らすことがYESという意味。ただ、顔の表情や揺らし方によってニュアンスが異なってくる)なこともあります。
ひとつ仕事を終えた時は報告をする、これから何をするか事前に伝える、気になることがあったら小さなことでも相談する。外国人上司と良い関係を築く、また信頼を得るために報・連・相は言葉で行いましょう。
ちなみに… 私のタイ人上司ってこんな人
私は過去に日本企業で働いていた経験もあるのですが、日本人の上司と比較すると、タイ人の上司には、「姉御肌」の人が多いと感じます。近年ハラスメントなどが頻繁に取り上げられるようになり、日本の職場ではわりと「当たり障りのない行動」をする人が増えてきています。一方、タイでは一度仲間として認められると、家族のように良くしてくれる上司が沢山います。初対面でも食事に連れて行ってくれたり、タイでの生活を心配してくれたりと、心が温まる行動をしてくれます。
また、タイ人の上司は良い意味でも悪い意味でも「情熱的な人」が多いと思います。その点では冷静で落ち着いている日本人の上司と仕事をする方がスムーズに物事が進むかもしれませんね。
いかがでしたでしょうか。国によって上手く働くコツは少し異なってくるかと思いますが、参考になれば幸いです。今後も沢山の外国人が日本で仕事をする、または日本人が海外で仕事をする場面が増えてくるかと思います。柔軟な心で、様々な人と仕事をしていけるといいですね。
【プロフィール】山﨑愛音(やまざき・あいね)
【CAのここだけの話♪】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら
AirSolはPR、商品開発、通訳、現地リサーチ、ライター業務等、現役CAの特性を活かせるお仕事を副業としてご紹介しています。
関連記事