就職氷河期世代支援、3年で650億円超の財源確保 政府行動計画明記、新交付金で自治体支援

 

 政府は23日、バブル崩壊後に学校を卒業し就職難だった30代半ばから40代半ばの「就職氷河期世代」の支援に関する行動計画をまとめた。13日決定した令和元年度補正予算案を含め、3年間で650億円超の財源を確保すると明記。新たな交付金を創設し氷河期世代への対応に積極的な地方自治体を支援するほか、国家公務員の中途採用は元年度中に一部の府省で先行的に取り組みを始めるとした。

 行動計画は23日開催の関係府省会議でまとめた。政府は6月に決定した経済財政運営の指針「骨太方針」で氷河期世代への支援に3年間で集中的に取り組むとし、正規雇用者を30万人増やす目標を掲げていた。

 行動計画の実行に必要な予算は「集中的な取り組み期間である3年間、安定的に確保する」とし、実質的に基金化。氷河期世代への支援をめぐっては元年度補正予算案に66億円、今月20日に決めた2年度予算案に199億円が計上されており、3年間で650億円を上回る財源を確保する。

 具体的な取り組みでは、関係者で構成する「プラットホーム」と呼ぶ官民共同会議について、既存の全国レベルに加え地方でも設置を進め、2年度中に全都道府県での設置を目指す。

 また、新たに「地域就職氷河期世代支援加速化交付金」を設け、元年度補正予算案に30億円を計上。氷河期世代への対応に積極的な自治体を支援し、模範例を他の自治体に移植する。さらに、全国の主なハローワークに専門窓口を設置し、就職から職場定着までの一貫した支援体制を築く。

 国家公務員の中途採用も2年度から3年間、集中的に行うが、内閣府や厚生労働省は2年度の早い時期の採用に向けて元年度中に内定を出すなど、先行的に取り組む。また、人事院による統一的な試験の可否や政府全体での採用規模などを来年夏に向けて詰める。

 行動計画で明記した取り組みは全国レベルの連携会議で毎年振り返りを行う。

 西村康稔経済再生担当相は行動計画について「これで終わりではなく、第一歩だ。(財源を)実のある形にしていく」と述べた。

「就職氷河期世代」の支援に関する行動計画のポイント

 ・令和元年度補正予算案を含め、3年間で650億円超の財源を確保

 ・官民共同会議の「プラットホーム」を既存の全国レベルに加え、地方でも設置。2年度中に全都道府県での設置を目指す

 ・「地域就職氷河期世代支援加速化交付金」を新たに創設。氷河期世代への対応に積極的な自治体を支援

 ・国家公務員の中途採用を2年度から3年間、集中的に実施。内閣府や厚生労働省は元年度中に内定を出す