2020年が始まった。ついに東京オリンピックが開催される(予定である)。東京オリンピックが終わるという言い方もできる。2020年代も始まる。○○年代と何かをくくり、決めつけるのはよくないし、オリンピックを基準に考えるのが正しいとは限らないが、何かの終わりのような、始まりのような期待と不安が入り混じる、そんな気分である。
「意識高い系」の仕掛け人としては…
年始にビジネスパーソンがやるべきことは何だろう。考えてみよう。まず、最初に言っておく。「一年の計は元旦にあり」と言うが、それでは遅いということだ。いちいち意識高く抱負を述べるのは結構だが、日々は続いているのであり、今さら計画をたてたり、抱負を述べても遅いのである。
ちなみに、私は「意識高い系」という言葉の仕掛け人ということになっている。年末から春にかけては、意識高い系ウォッチャーとしてはたまらないシーズンである。年末の総括、新年の決意表明、成人式や就活解禁日、卒業式、入社式などでの若者へのエール、異動や昇進・昇格、退職に合わせたポエムなど、見どころ満載なのである。
やや意地悪な楽しみ方として、意識高い系の上司・同僚・後輩、友人・知人などの過去の新年のSNS投稿をチェックすることをオススメする。毎年、同じような意識の高い発言を確認することができる。香ばしい発言も、おせち料理にも飽きた時期にはナイスな味わいだ。無理して撮っている正月らしい写真も痛々しい。ダイエットやアンチエイジングなどをアピールしている人たちのあまり変わらない様子や、取り組みが成功していない様子も味わい深い。
ただ、これは自分自身で振り返ってみることも有益である。もし、新年の抱負などをSNS投稿している人は、毎年、自分が何を掲げ、何を達成できなかったのかを確認すると良い。自分の超えられない壁や、癖がわかるのである。
「苦手を克服する」というのは美談だし、人に迷惑をかけることや不愉快にすることは今すぐやめた方がいい。ただ、自分自身には変われない部分もあるのだ。「今年こそ●●を克服する」などと考えずに、むしろ頑張らないことや、見切りをつけることを決めてしまうことも大事ではないか。
というわけで、意識高く目標設定をし、何かを宣言するのことを否定するわけではないが、むしろ今年やらないことを決めることも有益である。この一見すると「意識低い系」の決断は大きな成果を生むこともある。
意識高い系の新年の抱負はどうでもよいが、会社や社会の動きを読むことには意味はある。この時期、ビジネスパーソンがやるべきことは、自社や取引先の経営者が年末年始にどのような挨拶をしたのかをチェックすることだ。「イノベーション」や「改革」など、おなじみの言葉が並び、何も言っていないのと一緒だと感じることもあるが、とはいえ、これからの方針が垣間見られることもある。何を意識して行動するべきかの基準がよく分かる。
ビジネス誌の特集を読む
世の中の流れを読むために、私が毎年、行っているのはビジネス雑誌の「2020年総予測」のような特集を一通り読むことである。数社分買い込み、パラパラでもいいので、読むことにより時代の流れ、キーワードを捉えることができる。これをやると言葉同士が繋がりだし、何かが見えてくる。年末年始の新聞も同様に社会を捉える意味で便利だ。
もう大掃除は終えたと思うが、まだ終えていないのなら徹底して行うことをおすすめしたい。現在では、メルカリもあるし、その他にも中古品の売買サービスもある。いらないものは、捨てるだけでなく、どんどん売ってしまおう。気持ちよく過ごすために、バーゲンで腐らないデザインの定番品を買うのもアリだ。これで新年も快適に過ごせる。
何より、よく休み、よく遊ぶことだ。私は今年も、東京ドームでライスボウルとプロレス三昧。他にも映画を見まくる予定だ。思うように過ごせばいい。特に今年こそダイエットと思う人には、わざわざ美味しいものを我慢することはないだろうと言いたい。というわけで、年末年始は意識低い系でいくことも悪くない。今年もよろしく。
【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら