SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第69回はアジア系航空会社に勤め乗務6年目の田中洋子がお送りいたします。
世界中を飛び回るCAにとって、文化の違いを目の当たりにしたり、カルチャーショックを受けることは日常茶飯事です。文化の違いは発見でもあり、現地の方と仲良くなれるきっかけになることもありますよね。今回は、フライトで中国を訪れることの多いCAが、出会い、そして驚いた中国文化をご紹介したいと思います。中国通の方でしたら、「あるある」と感じることも多いかもしれません。
夜の広場が一体に 何ごとも“みんなで”が好き
とにかく“みんなで“何かをするのが好きな中国の方々。文化的に、“おひとり様”はあまりなく、集団行動が好まれる傾向にあります。
一人でご飯を食べるなんてもってのほか! 食事は大勢でにぎやかにするもの、だそうで、弊社は忙しい時を除きフライト中もクルー全員でお食事をします。エコノミークラスごと、ビジネスクラスごと…などクラス別といった具合です。
中国といえば有名なのが太極拳。朝早くから公園などに集まり、健康のために太極拳をする姿は、日本のラジオ体操に似ていますよね。踊ることも大好きな中国の方々は、夜も踊るんです! 大きなショッピングセンターや公園などで、日が暮れるとともに集まる人・人・人。
初めて見たときは、今日は何かイベントでもあるのかな? と思ったほどです。日が暮れてから人が集まってきたのですが、その目的はダンス! 各チームがラジカセを持参し、中高年の方々がはつらつと踊っている姿にとても驚きました。
いつしか観客も増えて、広場には一体感が! 聞いてみると毎晩開催される「夜の太極拳」? だそうで、中国では当たり前だとか。夕食後、家でテレビをゆっくり見るより、友人と集まって踊るほうが楽しいのだそうです。
いつでもどこでも、夏でも「熱いお茶」
お茶や漢方などで体の調子を整え、カラダの巡りを大切にする文化のある中国。長い中国の歴史の中で、人々の生活の中から自然と編み出された「体のため」という意識は、老若男女問わず、現代にも受け継がれています。
その代表的なものといえば、「冷たいものを摂らない!」こと。「冷えは万病のもと」という意識が、生活習慣の中にも垣間見えます。熱い夏でも白湯、熱いお茶。氷なんてもっての他なんです。
ビールも常温。これには筆者も最初は驚きました! 暑い夏の日には冷たいビールを飲みたい! と思うところですが、常温で飲む方のほうが多いので、機内でもビールを出すときは、常温か冷たいものかお聞きしてからお出しするようにしています。冷たいほうがお好みの方は、ぜひお申し出ください。
またお茶をたくさん飲む文化なので、どこへでもマイボトルを持参するのが当たり前。人それぞれの体調に合わせて茶葉の種類を選び、お茶のオリジナルブレンドを作っているんですよ。
CAたちにとっても冷える機内では、温かい飲み物が必需品。中国では、ダイエットやニキビ肌など、美容が気になる女性はその効果があるお茶をブレンドしています。中国人CAたちもそれぞれ好みのお茶を飲んでいます。美味しいお茶があると、CA同士で茶葉を交換したりもするんですよ。お茶は美意識の高い中国人女性の必需品です。
女友達の“彼氏のような優しさ”にほれぼれ
友達になると、心の底から大事にしてくれる中国の方々です。女同士でも、まるで恋人同士のようにお互いを大切にし、家族のようにケアするのが当たり前です。
例えば、仲良くなった中国の友人は私が日本に一時帰国する度に空港まで送り迎えをしてくれたり、自分の家族との食事には呼んでくれたり、風邪の時には薬や栄養のある食べ物を家まで持ってきてくれたり…。彼氏のように優しい女友達ですが、筆者が外国人だから、ではなく中国ではごく普通のことだとか。
しかも見返りは求めず、友達にはとことん尽くすのが中国の方々のとてもいいところだと思います。人との距離が近く、友達になったら家族の一員のように接してもらえるのは、外国人にとってとても嬉しいことですよね。
機内でも、先輩CAのことは「先輩」ではなく、「姐姐(ジェジェ)」と親しみを込めて呼び、一歩踏み込んだ近い関係になります。姐姐は日本語で「お姉さん」の意味です。後輩のことは「妹妹(メイメイ)」と呼びます。読んで字のごとく「妹」の意味です。
初めて会ったクルー同士でも姉妹関係のようになって、お姉さんは妹たちを優しく指導してくれるんですよ。初対面の相手でも「姐姐」と呼ぶことで親近感が生まれ、機内のクルー全員が一つの「家族」のように仲良くなるのは、中国の方々の「人との距離が近い」おかげかもしれません。
4千年の歴史に通ずる? 扉のないトイレ
日々目覚ましい発展を遂げる中国。もう都市部には存在しないかと思いますが、今から5年ほど前にはまだあった「扉のないトイレ」は文字の通り、扉がありません。日本のようにしっかりとした間仕切りがなく、便器と便器の間には、隣の人と挨拶できるほどの高さの簡易的なパーテーションはありますが、閉める扉がないので通路からは丸見え。郷に入っては郷に従えと、筆者もその壁のないトイレを使用しましたが、稀な経験でした。
なぜ扉やきちんとした仕切りがないのか…。これを考え出したらキリがありませんが、なくてもなんとかなるのが中国。そして気にしない。その「気にしない精神」。まさに中国4千年の歴史を考えざるを得ませんでした。小さなことも気にしがちな日本人ですが、「気にしない」図太さもたまには必要かもしれないですね!
いかがでしたでしょうか? 中国に馴染みのある方、またそうでない方も、中国の魅力を感じていただけましたか? 今年はいよいよ東京オリンピックが開幕されますね。中国のみならず、世界中の方々の文化を受け入れ楽しんでいきたいですね!
【CAのここだけの話♪】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら