サービス以外の時間帯、CAは何をしているのか
SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第71回は中国系航空会社に勤め乗務1年目の樽井優がお送りいたします。
皆さん、客室乗務員(CA)は、機内でどのように過ごしているかご存知でしょうか? 機内食や飲み物のサービスが終わった後、何をしているのか不思議に思っている方も多いのでは…? 今回は、意外と知られてないカーテン奥のギャレー(機内のキッチンのような場所)でのCAの過ごし方をご紹介したいと思います。
私が勤めている航空会社では、片道の最長乗務時間は約4時間~5時間で、これを一日のあいだに往復することもあります。また片道の最短乗務時間は約1時間15分ほどで、この場合は一日のあいだに往復することがほとんどです。
長距離便と短距離便には、実はCAにとって雲泥の差があるのです。私たちCAの機内での過ごし方にも、かなりの違いがあるんですよ!
最長乗務時間の便での過ごし方
長距離便と短距離便。私が勤める航空会社の場合は、サービスを終えるまでの流れは共通です。私たちCAは、飛行機が出発し離陸した後、シートベルト着用サインが消えるまでは担当のジャンプシート(機内のドア付近にあるCA専用の座席)に座っています。シートベルト着用サインが消えてからがサービスの準備開始です。ギャレーに向かい、機内からは作業が見えないようにカーテンを閉め、サービス用の制服に着替えます。そして、食事や飲み物配布などのサービスを始めます。
長時間のフライトでは、全てのサービスが一通り終われば、そこからは基本的にお手洗いの清掃、機内を定期的に巡回しながらギャレーに待機しています。
その間に、私たちCAもクルーミール(CA専用の機内食)をいただきます。各クラスのお客様にお出ししているミールが余っていればそれを食べることもありますが、基本的にはCA用の食事やフルーツも用意されています。毎日機内食を食べるので、飽きてしまったCAや、健康に気をつけているCAの中には、食事を家から持参している人もいます。
また、旅行先のお土産などをみんなでシェアしたり、仕事の話、噂話、恋愛話をしながら会話に花が咲くこともしょっちゅう。みんな普通の女の子なので、お話しし出すと切りがありません! もちろん、お客様のご要望には一目散に飛んでいきますよ。
他にも、私たちの後にその飛行機で乗務するクルーのために機内物品の補充作業や飲み物やお酒などの在庫管理をしています。
機内は乾燥がひどく、足のむくみも感じやすいため、ハンドクリームを塗るなどお肌のケアをしたり、ストレッチをして過ごしたりしているんですよ。
一転、最短乗務時間の便では…
最短乗務の場合、約1時間弱の短いフライトにも関わらず、弊社では全てのお客様に食事を提供するため、サービスを終えた後のギャレーはまさに戦争状態です(笑)
物の置き場がなくなったギャレー、鳴りやまないコールボタン…。自分たちのご飯を食べる時間もない中でパイロットからの着陸アナウンスが入ります。着陸準備、補充作業、在庫管理…このすべてを約15~20分で完結しなければなりません。
長時間の路線とは180度違って、クルー同士でお話ししたりお土産のシェアなんてしている時間など一切ありません。着陸準備に入る前にクルーミールを食べようとするなら、立ち食い・早食いです(笑) 飲み込むに等しいスピードで平らげます。
もうお気づきでしょうか? CAと話したい、仲良くなりたい…と思ってくださる方は、ぜひ長時間フライトがチャンスだと思ってください! 長時間便でも、サービス中は一人ひとりのお客様とゆっくりお話しすることが難しいのですが、最低限のサービスが終わった後はCA同士で会話する時間があるのでぜひその際に声をかけていただけると幸いです。私たちもお客様とお話しするのがとても好きなので、いつでもお待ちしております。
いかがでしたでしょうか? CAの機内での裏側を、少しは知っていただけましたか? これからCAを目指す方やすでに目指している方、また機内で私どもと仲良くなりたいと思ってくださる方は、少しでも参考になればと思います。
またインスタグラムにて相談・質問も受け付けておりますのでぜひご活用ください。外資CAの生活、旅行の仕方、おすすめなどの情報も記載しております。
【CAのここだけの話♪】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら