転職で“激変”
SankeiBiz読者のみなさんだけに客室乗務員(CA)がこっそり教える「ここだけ」の話。第72回はアジア系航空会社で乗務6年目の土屋あいりがお送りいたします。
突然ですが、私は大学卒業後、別の航空会社で約2年間、空港の地上職員として働いていました。CAになったのは、ご縁で現在の会社に転職してからです。勤務形態や仕事内容はもちろんですが、CAになり一番大きく変化したことがあります。それはズバリ、出会いの数です!(笑) なんとなく予想はしていましたが、CAになってから、自分でも驚いてしまうほど格段に増えました。
一般的に「CA=出会いが多い」というイメージがあるかもしれませんが、実際にプライベートでCAに出会ったことがあるという方は案外少ないようです。今回はその出会いをめぐる事情を明かしつつ、CAとの会話で避けたほうが無難な質問やCAとの会話が弾みそうな話題などをお伝えしたいと思います。
贅沢な悩み とにかく食事会の誘いが多い
採用試験を受けてCA枠で入社しても、まず一人前のCAとして乗務デビューするには、入社後の厳しい訓練を突破しなければなりません。特に外資系の航空会社では、乗務開始後のベースとなる居住地が日本だとしても、訓練は本社がある国で行われるので海外生活が始まります。
訓練期間は数カ月にわたり、筆記テストや実技の連続でとてもハードな日々を過ごしていると、自然と同期との仲が深まっていきます。ちなみにCAは同業他社間での転職がとても多いので、経験のあるメンバーが未経験のメンバーを引っ張ってくれたりします。
そして長く厳しい訓練生活が終わり、乗務が始まれば、勤務スケジュールはバラバラになり、仲が深まった同期たちとも職場で会う機会は減っていきます。では職場以外にどこで同期と会うのかというと…それが、異業種の男性との間で開かれる食事会なのです!
きっかけは他社でもCAとして働いていた同期からの誘いでしたが、参加するうちに、私も段々と同期や友人を誘って主催することも多くなっていきました。同期全員が独身だった新人時代には、同じ日に2、3件お誘いがあり、どれに参加しようか迷ってしまうといった贅沢な悩みもありました。
業界用語は警戒されるかもしれない
CAに限らず各業界や会社において、独特の言い回しや略し方ってありますよね。業界や社内でしか通じないと思っていたことが他の誰かと共有できるとたしかに話は弾みます。ですが、もし楽しくお話ししている最中に、例えば「シフトは4勤2休なの?」などと言われるとドキッとしてしまいます。「4勤2休」とは、「4日間勤務して2日間休むというサイクルを繰り返す」という意味で、主に日本の大手航空会社で使われている業界用語です。
その言葉を知っているということは以前にCAと近い関係にあったのかなと想像してしまいます。さきほども触れたように、航空会社は同業他社間での転職が多く非常に狭い業界なので、もしかしたら私が知っているCAの誰かと繋がっているかも? と警戒してしまうのです。
私たちCAに歩み寄っているつもりが、“もったいない結果”になってしまわないよう、知っている用語があっても口にせずグッと堪えてみてください。間違っても、食事会などで出会い頭に「赤? 青? どっちのエアラインなの?」などとは聞かないでくださいね(笑) その2社以外にも航空会社はたくさんあります。
絶対に盛り上がる質問はこれ
CAに聞いたら必ずといっていいほど会話が盛り上がる質問があります。それは「今までで印象に残っているお客さんは?」です。
CAは国内線では多い日に4便、毎便少なくとも100名以上のお客様に接します。同僚と会う時は必ずと言っていいほど、フライト中の出来事について話すのです。ありがちな質問かもしれませんが、毎日たくさんのお客様と出会う機会があると、想像以上に様々なことが起こるものです。
ちなみに私が印象に残っているお客様のひとりは、サービスがひと段落してほっとしている最中にギャレー(機内のキッチンのような場所)にいらした年配の男性です。「気になってたんだけど…」と前置きした後に私の身長を聞かれました。「169センチです」と答えると、「そりゃあ、おっきいね! じゃあ嫁の貰い手に困っちゃうわ!」と大笑いされました(苦笑)
プライベートを含めても初めての経験
多くのCAはお客様から名刺や連絡先をいただいた経験があるのではないでしょうか。私も実は、経験があります。サービスの最中に少しお話しした方が降機される際、さりげなく「よかったら今度ご飯でも」とくださるケースが多いのですが、中でもとても印象に残っているお客様がいらっしゃいます。
東京へ戻る深夜の便に搭乗していたお客様で、「仲のいい上司にお土産を買うのを忘れてしまったので、機内販売で何か買いたい」と尋ねられ、私のオススメの商品をいくつかお伝えしました。たくさんある商品をひとつひとつ実際に手に取り、かなり迷った末に3つ購入されました。
着陸前の最終準備に入る頃、そのお客様がギャレーにいらして、「後で読んでください」と1枚の紙をくださったのです。フライト後に開けてみると、そこには「一緒にたくさん考えてくれてありがとう」と感謝の言葉がびっしりと綴られていて、最後にお名前と連絡先が書かれていました。メモ程度のものは貰ったことはありますが、手書きの文章を男性から頂いたのはプライベート含め初めてだったのでとても今でもよく覚えています。
いかがでしたでしょうか? 少し赤裸々過ぎてしまったかもしれません。ですが、もし皆様がCAと出会った際、少しでもこの記事が楽しい時間作りの手助けになれば嬉しいです! 最後までお読みいただきありがとうございました。
【CAのここだけの話♪】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら