5時から作家塾

昼寝で仕事の効率アップ 日本初の移動式快眠ルームが誕生

吉田由紀子

 忙しく働くビジネスパーソンのみなさん、しっかり睡眠をとっているだろうか。寝不足になると仕事の効率が落ちて体調不良につながる場合が多い。

日本初の昼寝専用車「koala sleep car」、会社の駐車場やコインパーキングで簡単に昼寝ができるため、ビジネスパーソンから好評を得ている
車内には快眠のための工夫がいろいろ。一回20分の昼寝利用ができ、料金は無料である
睡眠中の脳波を測定するスリープイヤホンをつけると、脳波と同じ波長の音楽がBGMとして流れ、快眠を誘う仕組みになっている

 総務省の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間40分(2016年)。OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で下位に位置する状況だ。

 寝不足を感じた時は、昼食の後に20分ぐらいの仮眠をとれば心身ともにリフレッシュできる。しかし、オフィスで昼寝したくても仮眠室がない、サボっていると思われる、罪悪感を覚えてしまうという方が多いのではないだろうか。

 こんな悩みを持つ方に、朗報!

 なんと、ゆっくり昼寝ができる場所を「出前」してくれるサービスが登場したのだ。その名も「koala sleep car(コアラスリープカー)お昼寝デリバリー」。ビジネス界でいま注目を集めている。

 ワンボックスカーを改造して、昼寝用の個室に仕立てた「コアラスリープカー」という専用車が企業に出向き、快適な昼寝タイムを提供してくれるのだ。

 いったいどんなサービスなのか。この事業を始めたKoala Sleep Japan株式会社広報部の恵古涼夏さんに取材をした。

 「昼寝をしたいけれど、オフィスでは難しい。そんな働き盛りのビジネスパーソンのために快適なお昼寝空間を作りました。特長としてはまず、ゆったりとしたダブルサイズの高品質マットレスと枕。マットレスには高い振動吸収力があり、睡眠時の姿勢に合わせた良質の寝心地を実現しています。ブランケットはオーガニックコットン製で優しい肌さわりになっています。内部の照明はバッテリーで駆動しますので、エンジンを切って静かに寝ていただくことができます。快眠を誘うヒノキやユーカリ、松のアロマオイルも用意していますので、お好みで使っていただけます。これらの快眠アイテムは、提携企業のご協力によるものです」(恵古さん、以下同)

 1回の昼寝利用は20分。企業の駐車場やコインパーキングなどに駐車して利用する。かなり工夫が凝らされたスリープカーだが、なんと使用料は無料である。さらに駐車料金も企業が負担せずに済むという太っ腹なサービスだ。

 「弊社はコアラという社名からもおわかりのように、オーストラリア製の高品質マットレスの製造販売を手がけている会社です。マットレスをもっと身近に感じてもらうにはどうすればいいかと社員がアイデアを出しあい、お昼寝カーを作るのはどうだろう、それは面白いということになり、実現しました。個室でゆっくり眠れることで好評を得ています」

 今年3月、本格的に始まったサービスだが、昨年9月に実証実験を行った上での始動である。

 「9月いっぱいかけて9社の企業を回りました。昼寝を推奨する企業や健康経営に力をいれている企業が多かったですね。ご利用いただいた社員さんからは、思った以上によく眠れた、オフィスだと横になって寝られないけどスリープカーなら熟睡できた、昼寝をしたら体調が良くなった、リフレッシュできた。こんな感想をいただき、うれしく感じています」

 コアラスリープカーには、さらに快眠を誘う工夫がある。眠る前にオーガニックのコーヒーを提供。カフェインを摂取することで目覚めがスッキリするという。昼寝の後には、特製のパンをおみやげに用意している。これは1食に必要な栄養素が含まれる完全栄養食である。

 「特別仕様のスリープイヤホンも用意しています。このイヤホンには睡眠中の脳波を測定する機能があり、利用者の脳波と同じ波長の音楽をBGMとして流すことができます。こうすると、より眠りやすくなるんです。五感のすべてに作用して快眠をもたらすように工夫しています」

 その上に、天井にはプロジェクターも付いている。映像を壁面に写し出すことができる仕組みだ。キャンドルやランプ映像がリラックス効果を促進してくれる。また、YouTubeやAmazonプライムビデオといった動画配信サービスも楽しむことができる。まさに、至れり尽くせりである。

 「今はお昼寝デリバリーサービスだけですが、今後は空間そのものを貸し出すサービスも展開したいと考えています。例えばカップルで楽しむスリープデートに使っていただいたり、女子会を開いても楽しいかもしれませんね」

 なかなか興味深い昼寝のデリバリーサービスだが、どこまで出向いてくれるのだろうか。

 「始まったばかりですので現在は東京を中心に神奈川、埼玉、千葉あたりまで日帰りで出張しています。でも他のエリアでもご希望があればデリバリーをさせていただきます。ぜひご相談ください。また今は企業向けですが、今後は一般の方にもご利用いただけるようにしていきたいと検討中です」

 海外ではビジネスシーンに昼寝を導入し、社員の体調維持に努める企業が少なくない。ほんの20分の昼寝が仕事の効率をアップさせるのは明白である。最近お疲れ気味のみなさん、一度昼寝を体験してみてはいかがだろうか。(吉田由紀子/5時から作家塾(R)

 ※koala sleep carは現在、新型コロナウィルス対策のため、サービスを一時停止中。感染症の様子を見ながら、安全だと判断した際には再開の予定である。

5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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