CAのここだけの話

フライト後に隔離施設へ コロナ禍の現役CAはいま

甘利菜月

 SankeiBiz読者のみなさんだけにCA(客室乗務員)がこっそり教える「ここだけ」の話。第80回はアジア系航空会社に勤務し、乗務5年目の甘利菜月がお送りいたします。

アジア系航空会社でCAとして働く甘利菜月さん。コロナの影響を受けるまでは月100時間以上のフライトが当たり前だったという。提供:本人
ランタンの灯りが綺麗なベトナム・ホイアンの街。ご飯も美味しいです。提供:執筆者
ペルーにある世界遺産マチュピチュ。「死ぬまでに一度は訪れたい絶景」といわれることもありますが、実際に訪れてみてその表現に同感しました。提供:執筆者
中国・上海のショッピングストリート。コロナが収束したら、早く中国に飛んで美味しい小籠包が食べたいです(笑)提供:執筆者

 新型コロナウイルスの影響により在宅勤務で業務を継続している方も多いかと思いますが、CAは空を飛ぶ飛行機とお客様がいらっしゃらなければできないお仕事。ほとんどの便が欠航し大打撃を受ける航空業界ですが、そんな中、現役CAはどう過ごしているのでしょうか? 航空会社によっても状況は異なるようですが、一例として私の状況をお話しできればと思います。

 現在のCAのスケジュールは?

 現在、私は休暇中です。

 弊社ではフライトが全くないわけではないのですが、激減しているフライト数に対しCAの数が多いため、3月後半から5月現在まで、フライトがほとんどないCAが大多数です。コロナの影響を受けるまでは月100時間以上のフライトが当たり前だったのに急にフライト数ゼロになんてなると何をしたらいいか分からなくなってしまいますね(笑)

 フライトがない間は無給? 有給? それとも…解雇?

 私の会社の場合、コロナ禍での休暇は無給です。

 ですが、フライトがない期間の調整方法は会社によって異なるようです。1カ月間の長期休暇でも、基本給は出る会社、基本給すら出ない会社、無給休暇の取得を強制される会社、挙手制で無給休暇を取得する会社、自動的に有給休暇をアサインされてしまう会社…などCAをめぐる対応は多岐にわたります。

 長期休暇となればそれぞれの国に帰りたいと思うCAも多くいます。けれど日本に帰国した場合、国内の指定場所で2週間の待機生活になるため、帰国を諦めるCAもいます。そもそも自国の空港が閉鎖していて帰る手段がない場合もあります。

 有給休暇の強制消化により、年末に挙げる結婚式のために確保しておいた休暇がなくなり、挙式ができなくなってしまったCAもいます。どの会社のCAもなかなか厳しい状況下に置かれているようです。

 中には雇用調整やコストカットの方法をとっても経営状態を維持することが困難で、社員の解雇に踏み切る会社や経営破綻する会社も数多く存在するのが現状でCA一同とても心を痛めています。

 フライトがない間は何をしているの?

 さて、急に増えてしまったおうち時間。CAたちは何をしているのでしょうか? 

 なにか新しいことを始めるCAが多いように感じます。中でも多いのがお菓子作りやパン作り。普段は世界中を飛びまわり、家にいる時間が少ない私たちにとって、おうち時間はむしろ新鮮なんです!

 普段はしないようなお菓子作りに挑戦する友人も増えており、インスタグラムを開くと毎日誰かしらがくるみパンかシナモンロールを作っています。中にはもう今すぐにでもパン屋さんが開けそうな子もいます(笑)

 他には、自宅でエクササイズをしたり、語学の勉強を始めたり、看護師免許を持っていてボランティアとして医療現場に手伝いに行くなんていうCAも中にはいます。

 私はというと、最近セルフネイルをはじめました。ネイルサロンも営業していませんし、感染のリスクもあるため、自分で自分の爪に施すのです。職業柄、普段は派手な色やデザインのネイルをすることができないため、したかったけれど乗務期間中はできなかったデザインを初心者ながら楽しんでいます。

 フライト後に隔離を経験

 コロナ感染者の濃厚接触者に対しての対応は国によります。日本では、濃厚接触者になった場合、2週間の自宅待機を求められることが多いかと思います。私の住む国では濃厚接触者になった場合、施設での隔離を必要とされます。それは職業上多くの人と接触せざるをえないCAも対象外ではありません。

 乗務する便に感染したお客様が乗っていたことが判明した場合、そこから2週間の隔離生活を送ることとなります。CAによってはPCR検査の結果がなかなか出ないなどの理由で隔離期間が1カ月間に及んでしまう場合もありました。

 私も、乗務した便に感染者がいたことが判明し、施設での隔離生活を一度経験しました。提供される食事がなかなか口に合わず、かといって施設には調理器具もないため自炊することもできなければ、もちろん、外出して外食することもできなかったので少し大変でした。

 また2週間丸々人に会えず、部屋の外に出られないというのは人生で初めての経験でした。いい経験にはなりましたが、もう二度と味わいたくない経験でもあります(笑)

 ネイルサロンと美容院の休業は死活問題!?

 私の住む国は、フランスやイタリアのような完全なロックダウンは実施されていません。店はスーパーと薬局のみが開いていて、レストランはテイクアウトとデリバリーのみが可能です。

 しかし問題がひとつ。ネイルサロンと美容院が完全に閉まっているのです。濃厚接触を避けるためにはもちろん仕方のないことですが、これはCAにとってはちょっとした死活問題…。

 というのもCAというのは身だしなみに厳しい職業だからです。髪の長さや爪の長さ、髪型、化粧にも規定があって、あまりにも規定から外れている場合は乗務停止となります。

 髪を自分で切るにもある程度の技術が必要ですし、マニキュアと異なり、ジェルネイルを取るにも特殊な薬品が必要です。やむを得ず自分で処理し、その結果失敗して身だしなみの基準から外れてしまっては元も子もありません。

 以前一緒にフライトした男性CAは海外のステイ先で美容院を見つけ、そこで髪を切ってもらっていました。女性の私には、彼の髪が綺麗に切れているように見えたのですが、よくよく聞いてみれば、英語が通じないがために注文がうまく通らず切られすぎた結果、身だしなみの規定から外れてしまったらしいのです。その後、彼が通常通りフライトを続けることができたかはわかりません(笑)

 世界的にコロナの完全終息の目処が立たない中、航空業界の完全復活も目処が立っていない状態です。

 この先どのような状況になるかは分かりませんが、世界中のCAも皆さんも、大好きな旅行が楽しめるように、また楽しく飛行機に乗ってどこかに行ける日が来るように…微力ながら願っています。

大学で観光学を専攻後、旅行代理店へ就職。もっと世界を見てまわりたいという思いからアジア系航空会社へ転職。現在乗務5年目。趣味は世界の絶品グルメ巡りとネイル。

【CAのここだけの話♪】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら