ウィズコロナ時代の服装
いま、ビジネスパーソンの悩みと言えば、服装ではないか? 快適に働くため、ビジネスパートナーを不愉快にさせないための服装の流儀について考える。
7月だ。関東はまだ梅雨明けしていない。カラッと晴れる日もあれば、いかにも梅雨らしいジメジメした日や、雨が降り続く日もある。緊急事態宣言が解除されて、1カ月が経った。新型コロナウイルスショック前ほどではないものの、街に活気が戻りつつある。6月19日からは県を越えた移動も可能となった。筆者も実に久々に、遠方から東京にやってきた方と打ち合わせを行った。一方、在宅勤務も継続中だ。勤務先も、取引先も、働き方が多様な時代がやってきた。
この環境下で困るのが、服装問題である。いったい、何を着ればいいのか。ラフな格好はどこまで許されるのか。この問題は、新型コロナウイルスショックの前から存在した。クールビズが導入され、むしろ「かたい」イメージの官庁・自治体や金融機関ほど、徹底してネクタイやジャケットを着用せずに働く人たちが増えた。IT企業などにおいては、Tシャツにジーンズ、場合によっては短パンなどラフな格好が増えた。他業界にも広がっている。一方、「では、ウチの職場でどこまで崩していいのか?」と悩む人も多いことだろう。とくにテレワークの際にどのような格好をするのかは悩むことだろう。
酷暑とエアコン問題
一方、特に今年、気をつけないといけないのは、健康の管理である。すでに全国紙などでも取り上げられているが、マスクの着用による熱中症の増加が懸念されている。実際、マスクをしたまま、暑い中、喋り続けて気持ち悪くなったという人は私の周りにもいる。
今年は、猛暑・酷暑になるとの予想もある。もし、五輪が開催されていたら、選手、観客ともに大変だったのではないか。それは来年開催されたとしても変わらないリスクなのだが。今の日本において、特に都市部で働く場合は、猛暑・酷暑とどう向き合うかというのは生きる上での問題なのだ。
ただ、夏は実は「寒い」季節でもある。そう、エアコン問題である。特に、全員が出勤しなくなったオフィスのエアコン調整は難易度が高い。温度を高めに設定していても、思ったよりもきいてしまう可能性がある。これは在宅勤務においてもそうである。温度調整は意外に難しいものだ。
さて、どうするか。そもそもビジネスの服装とは何かということから考えてみよう。服装に何を期待するかという問題でもある。ビジネスにおける服装は、自分の意志だけでは必ずしも選ぶことができない。これに対して不自由を感じる人もいるかもしれないが(私もそのタイプだが)、とはいえビジネスの成功、その前には成立を実現しなくてはならない。取引先や組織内の期待に応えるという側面があることを覚えておきたい。つまり、服装は機能しなくてはならないのである。
服装には様々な考えがあることを理解したい。たとえば、制服やドレスコードに関する考え方だ。工場や、店舗だけでなく、事務職場においても制服がある職場というものがある。しかも、女性のみ制服ありという職場すらある。いかにも不自由の象徴に見えるし、女性差別のようにも見えるが、その職場にお邪魔してみると、むしろ女性社員がこの制服を支持していることに驚く。ラフな格好で出勤できるし、服装に気を使わなくて良いので便利とのことだ。採用担当者は求人広告で制服をアピールすると言っていた。なお、制服には機能があることを確認しておきたい。工場などの現場においては、清潔かつ安全な格好で仕事をするという意味もある。現場をマネジメントしやすくするためのものでもある。一体感も醸成できる。
アナタは自分の服装を説明できるか
その上で、このハイブリッドな働き方をする時代に何を着るべきか。つきつめると、ポイントは3つだ。ビジネスの相手を不愉快にしない服、自分らしさを発揮し信頼を勝ち取ることができる服、自分の身を守る服である。さらに「自分の服装を説明できること」ということに尽きるだろう。服装を規定するものは、実は会社のルールというよりも、ビジネスの相手である。いかにもクリエイター集団に見える広告代理店でも、取引先がどの企業かによって服装は変わる。メガバンク担当なら、いまだにダークスーツだし、ファストファッション担当は、その企業の服に身を包んでいる。誰と接するか、その人にどう思われたいかを基準に考えたい。
一方で自分らしさは必要である。これを放棄すると居心地が悪いからだ。相手にも認知されにくい。先ほどの鉄則と矛盾するかもしれないが、その業界・企業・職種「らしくない」格好で自分をブランディングするという手もある。私も会社員時代は茶髪で営業をしていたこともあったし、今は金髪に近い茶髪、長髪でシルバーアクセサリーを身にまとっているので大学の教員っぽくないとよく言われる。自分自身、ファッションの参考にするのはロックミュージシャン、プロレスラー、さらには『CROWS』『WORST』などのヤンキー漫画だ。あえて「チャラい」格好をして、真面目な話をするというのが私のやり方だ。政治家と共演する際や、官庁や自治体関連の仕事をするときほど「チャラい」格好をすることにしている。相手を驚かせるためだ。しかし、根底に仕事を通じてやり遂げたいことがあるということを確認しておきたい。
そして、自分の健康を守るということを今年は強く意識したい。新型コロナウイルス感染や人にうつすリスクもそうだが、熱中症リスク、そしてエアコンリスクにも対応しなくてはならないのだ。涼しい格好をしつつ、エアコンの冷風から身を守らなくてはならない。
ジャケットと高級Tシャツ
ちなみに、私が実践している、夏を快適に働くためのコツは、「ジャケット」と「高いTシャツ」の活用だ。外出時も、在宅でオンライン会議をする際も、ジャケットを羽織ると、それなりにかっちり見えるし、温度調整もしやすい。これを高級感、フォーマル感のあるTシャツの上に着ると、むしろクールビズを実践している人よりも、かっちりと見える。外を移動するときは涼しくて快適そのものだ。
なお、私は「制服」として紺のジャケットを、ほぼ同じ形で、素材違い、メーカー違いで4着持っている。黒ではなく紺なので、若々しく見えるし、とはいえフォーマル感もある。同じく「制服」としてブランドものの1着1万円を超えるTシャツを大量に保有している。一見すると贅沢だが、ちゃんとかっちりしていて、涼しいものを極めると「高級Tシャツ」こそ最強であるという結論に達した。
今年はバーゲンが前倒しで開催されている。この時期に、ぜひ、ジャケットと高級Tシャツの、しかも流行に関係ないベーシックなものを仕入れてほしい。これぞ快適かつ、相手の信頼を勝ち得るアイテムである。
毎年、この時期になると、半袖ワイシャツに黒いパンツという、まるで中学校の制服のようなクールビズ軍団が跋扈するのが気になっていたが、ファッションの悩みはますます増すことだろう。信頼、自分らしさ、健康、この切り口で自分流のウィズコロナのビジネスにおけるファッションを考えよう。
【働き方ラボ】は働き方評論家の常見陽平さんが「仕事・キャリア」をテーマに、上昇志向のビジネスパーソンが今の時代を生き抜くために必要な知識やテクニックを紹介する連載コラムです。更新は原則隔週木曜日。アーカイブはこちら